産後、身体はすぐには戻らない。お母さんの回復を支える鍼灸

出産を終えると、周囲の関心は赤ちゃんへ向かいます。

お母さん自身も、赤ちゃんの食事や眠り、体調を優先し、自分の身体に起きていることを後回しにします。

けれど、出産は身体の回復が終わる日ではありません。

出産した日から、お母さんの身体の回復が始まります。

その身体で、授乳や抱っこ、食事、入浴、寝かしつけなど、赤ちゃんとの新しい生活が始まります。

身体が回復する前から子育てが始まる。それが産後です。

2Faceでは、産後の身体を整えることは、お母さん一人のためだけではないと考えます。

お母さんが食べ、眠り、身体を動かし、子どもと過ごせる余力を持つこと。それが、親子と家族の暮らしを支える土台になります。

目次

産後の身体には、休んで回復する時間が必要

産後の身体は、「交通事故に遭ったほどのダメージを受けている」とたとえられることがあります。

医学的に交通事故と同じ状態という意味ではありません。それほど出産では大きな力を使い、見た目以上に休養と回復が必要であることを表した言葉です。

出産した翌日から歩き、赤ちゃんのお世話ができても、身体が回復したわけではありません。

動けることと、身体が元に戻っていることは別です。

昔は、出産後の身体が回復していく過程を「産後の肥立ち」と呼び、お母さんを一定期間休ませる習慣がありました。

周囲の人が家事を担い、お母さんは身体を横にし、食事をとり、出産で使った力を補いながら過ごす。産後には休養が必要であることを、暮らしの中で共有していました。

産後約3か月は、以前どおりに動けることを急ぐのではなく、身体の回復を優先したい時期です。

新生児は一日の多くを眠って過ごし、授乳や排泄、その他の不快を知らせるために起きます。赤ちゃんが眠っている時間は、家事を片づける時間ではなく、お母さんも身体を横にする時間です。

眠れなくても、横になって身体を休める。産後のお母さんにとって、それはぜいたくでも甘えでもありません。

休みたくても休めないのが、現代の産後

必要なのは分かっていても、実際には十分に休めないお母さんが多くいます。

身近に頼れる人がいない。家族も仕事がある。上の子どもの生活も続く。食事、洗濯、掃除を完全に止めることもできない。

赤ちゃんが眠ったら家事を進め、夜は細切れに起きる。身体を休めなければならない時期に、お母さんが最も忙しくなっています。

この状況を、お母さん自身の努力不足や段取りの問題にしてはいけません。

休みたくても休めない環境の中で、「もっと休んでください」と伝えるだけでは身体を守れません。

家事を減らす。周囲へ頼る。食事を用意してもらう。横になる時間を先に確保する。使える支援があれば使う。

それでも補いきれない疲労や緊張に対して、身体へ直接手当てをする場所が必要です。

2Faceは、休めないお母さんが立ち止まり、身体の力を抜き、失った余力を少しずつ取り戻すための場所でありたいと考えています。

産後に休める環境は、妊娠中につくっておく

赤ちゃんが生まれてから、生活をすべて変えるのは簡単ではありません。

食事は誰が用意するのか。洗濯や掃除はどこまで減らすのか。上の子どもの生活を誰が支えるのか。お母さんが横になる時間をどう確保するのか。

産後を一人の頑張りで乗り切らないために、妊娠中から家族と話し、休める環境を準備しておくことが大切です。

完璧な計画を立てる必要はありません。

産後約3か月は、お母さんの回復を優先する。そのために家事を減らし、人へ頼り、赤ちゃんが眠っているときはお母さんも身体を横にする。その方針を家族で共有しておきます。

妊娠中から親子の生活リズムを整えることについては、こちらの記事で詳しくお伝えしています。

「妊娠中から、子育ては始まっている。お母さんと子どもの身体を整える」

産後の不調は、何年も経ってから現れることがある

当院へ来院される方には、身体の経過を一緒に振り返ると、「思い返せば、産後から体調を崩している」と気づく方が多くいらっしゃいます。

自分のことを中心に考えられた生活から、産後は子どもの命を守る生活へ変わります。

食事、睡眠、排泄、体調、室温、外出する時間。常に子どもの様子へ気を配り、自分の身体を後回しにする時間が増えていきます。

しかし、産後の不調は、気疲れや子育ての忙しさだけで起こるものではありません。

出産で大きな力を使った身体が回復しきらないまま、十分に食べられない、眠れない、休めない生活が続く。その積み重ねによって、身体の余力が少しずつ失われていきます。

当時は子育てに必死で、自分の変化に気づけなかった方もいます。子どもが成長し、身体に不調が現れてから、初めて産後から続く変化に気づきます。

産後の不調は、出産直後だけに現れるものではありません。

出産から数年が経っていても、身体の経過を振り返ると「出産を境に変わった」と分かることがあります。

以前より疲れやすい。
眠っても身体が回復しない。
首や肩、腰の痛みが続く。
胃腸の調子を崩しやすい。
呼吸が浅く、身体の力を抜けない。
不安や動悸が現れやすい。

最初から「産後の不調」として相談される方ばかりではありません。

腰痛や肩こり、側弯症に伴う身体の痛み、強い緊張、パニック発作などをきっかけに来院し、これまでの経過を聞いていくと、出産後から体調が変わっている方がいます。

子どもが成長し、出産から時間が経っても、回復しきらないまま積み重ねてきた負担は身体に残ります。

「もう産後ではない」と切り離さず、妊娠、出産、その後の暮らしまで振り返ることが、今ある不調を知る手がかりになります。

お母さんの不調を、年齢や子育てのせいで終わらせない

子育て中の疲労や痛みを、「年齢のせい」「子どもがいるから仕方がない」と受け入れてしまう方がいます。

しかし、妊娠中から続く身体の変化、出産で使った力を十分に補えなかったこと、長く続く睡眠不足、落ち着いて食事をとれない生活、自分より家族を優先してきた時間。その積み重ねが、現在の身体に現れています。

産後から何年経っていても、身体を整えるのに遅すぎることはありません。

産後の身体を整えるとは、妊娠前の身体へ無理に戻すことではありません。

出産と子育てを続けてきた今の身体を知り、足りないものを補い、緊張をゆるめ、再び休める身体へ戻していくことです。

2Faceが行う産後の鍼灸

2Faceでは、「産後だから骨盤を整える」という一つの見方だけで施術を決めません。

出産からの期間、妊娠中や出産時の経過、現在の睡眠、食事、胃腸の働き、便通、月経、授乳、痛みや緊張がある場所、仕事や家族との生活まで確認します。

身体に触れ、脈やお腹、皮膚の状態を確かめながら、今どこに負担が集まり、何が不足しているのかを見ていきます。

首や肩、腰が痛くても、痛む場所だけを施術するとは限りません。

食べたものを身体の力へ変えられていない方。眠りが浅く、身体の緊張が抜けない方。休んでも疲れが取れず、動くための余力が残っていない方。それぞれに必要な施術は異なります。

鍼灸を受ければ、休まなくてもよいわけではありません。

休息だけでは補いきれない負担へ手当てをし、身体が休める状態へ戻す。食べたものを力に変え、眠った時間を回復につなげ、毎日の生活を続ける余力を取り戻す。そのために鍼灸を使います。

施術後も身体を守れるように、食事、休息、身体の動かし方など、ご自宅でできるケアもお伝えします。

理想的な生活を押しつけるのではなく、子どもの年齢、家族の協力、仕事の状況を含め、今の暮らしの中で実行できる方法を一緒に考えます。

お母さんの身体を整えることは、家族の土台を整えること

お母さんの体調は、家族の暮らしから切り離せません。

身体に余力がなければ、食事を用意することも、子どもの話を聞くことも、毎日の小さな出来事に向き合うことも負担になります。

お母さんの身体を整えることは、家族のためにさらに頑張れる身体をつくることではありません。

無理を重ねなくても、毎日の暮らしを続けられる身体を取り戻すことです。

産後すぐでも、出産から何年経っていても、後回しにしてきた身体へ目を向けることはできます。

出産を境に始まった疲れや痛みを、年齢や体質だけの問題として終わらせない。

今の症状だけを見るのではなく、妊娠、出産、産後から続く身体の変化を振り返り、必要な手当てを始める。

2Faceは、お母さんが安心して身体を休め、余力を取り戻し、子どもと暮らすこれからの日々を支えられる場所をつくります。

札幌市中央区の鍼灸2Faceでは、出産直後の方だけでなく、出産から年月が経ち、産後から続く不調を抱えている方の施術も行っています。

いつから不調が始まったのか分からない場合も、これまでの経過から一緒に身体を振り返ります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

札幌市中央区の鍼灸院「2Face」を運営。

東洋医学の考えをもとに、身体の土台を整え、女性の身体や妊娠・産後、子どもの身体に寄り添う施術を行っています。

「内側美が外側美をつくる」を大切に、日々の暮らしと身体について発信しています。

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