薬膳とは?特別な食材より、身近な旬をいただく

東洋医学に興味を持たれた方であれば、一度は耳にしたことがある「薬膳」。

八角やクコの実など、普段あまり使わない食材を思い浮かべる方もいると思います。

薬膳は、中国の伝統医学を背景に発展してきた食事法です。紹介されている料理の中には、食材や味付けになじみがなく、調理が難しい、続けにくいと感じるものもあるかもしれません。

けれど、薬膳は特別な食材を使わなければ作れないものではありません。

大切なのは、食事を通して身体を養い、季節や身体の状態に合わせて整えていくこと。

その考え方をもとに、日本の気候や風土、暮らしに合う身近な食材でも、食養生を取り入れることができます。

今回は薬膳の基本と、2Faceで大切にしている、日本の旬の食材を生かした食養生についてお伝えします。

目次

薬膳とは?季節や身体に合わせる食事法

薬膳とは、中医学の考え方をもとに、季節や体質、そのときの身体の状態に合わせて食材や調理法を選ぶ食事法です。

食材には、身体を冷やす方向に働く「寒性・涼性」、温める方向に働く「温性・熱性」、そのどちらにも偏らない「平性」があると考えます。

また、酸味・苦味・甘味・辛味・塩辛味の「五味」から、食材の働きを捉える考え方もあります。

こうした性質や味を手がかりに、季節や身体に合わせて食事を組み立てていきます。

漢方医学とは?日本で育まれた伝統医学

漢方医学は、中国から伝わった医学をもとに、日本で独自の発展を遂げた伝統医学です。

「漢方」と聞くと漢方薬を思い浮かべることが多いですが、その背景には、身体の状態を総合的に捉える考え方があります。

中国と日本では、気候や風土、食文化、暮らし方が異なります。医学も、それぞれの土地で受け継がれ、工夫されながら発展してきました。

食養生を考えるときにも、理論だけでなく、自分が暮らす土地や日々の生活に目を向けることが大切だと考えています。

基本となるのは「身体も自然の一部」という考え方

東洋医学では、人間の身体も自然の一部として捉えます。

気温や湿度、日照時間が変われば、身体の状態や過ごし方も変わります。食事も、その変化に合わせて考えていきます。

また、「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があるように、心と身体を切り離さずにみることも大切にしています。

気持ちの負担が食欲や眠りに表れることもあれば、身体の疲れが気持ちに影響することもあります。

食養生でも、何を食べるかだけでなく、食欲や便通、睡眠、日々の暮らしを含めて考えます。

中医学と漢方医学の違い

中医学と漢方医学は、共通する歴史を持ちながら、中国と日本でそれぞれ発展してきた医学です。

これは、どちらが正しい、優れているという話ではありません。

例えば、主食として親しまれているものも、日本では米、フランスではパン、イタリアではパスタなど、地域によって違いがあります。

いずれも炭水化物の供給源になりますが、食べ方や組み合わせ、食文化は同じではありません。

同じように、医学や食養生も、その土地の気候や風土、暮らしの中で受け継がれ、工夫されてきました。

中国で育まれた薬膳の知恵を学びながら、日本で暮らす自分の身体や食卓に合う形で取り入れる。

その視点を持つことで、薬膳はもっと身近なものになると思います。

日本の身近な食材で取り入れる薬膳

2Faceでは、日本で受け継がれてきた養生の考え方をもとに、日本の気候や風土、暮らしに合う身近な旬の食材を使った食事を大切にしています。

普段行っている鍼灸も、日本で受け継がれてきた経絡治療をもとに、その方の身体をみながら行っています。

食事についても、珍しい食材をそろえることより、まずは日常の食卓から見直すことをお伝えしています。

薬膳の目的は、決まった料理を再現することではなく、食事を通して身体を養うこと。

陰陽や五味の考え方を参考にしながら、身近な食材を、その季節と身体に合う形でいただく。

この記事では、そうした食養生を「日本の身近な食材を生かした薬膳」としてお伝えしています。

春夏と秋冬で、食材や調理法を変える

季節の食養生を考えるとき、まずは一年を春夏と秋冬に分けてみると、取り入れやすくなります。

東洋医学では、春夏は陽、秋冬は陰の季節として捉えます。

暖かい春夏には、身体の熱を発散させることを意識し、旬の野菜を取り入れる。寒い秋冬には、根菜などを使った煮物や汁物で、身体を冷やさない食べ方を意識する。

春夏は生野菜を取り入れ、秋冬は火を通す料理を増やすことも、その工夫の一つです。

ただし、夏でも冷えが強い方や胃腸が弱っている方は、生野菜や冷たい飲食物のとり方を見直します。季節だけでなく、今の身体も確かめながら調整することが大切です。

旬を意識すると、季節ごとに食卓に並ぶ食材や味にも変化が生まれます。

春の山菜の苦味、夏の果物の酸味や甘味、秋冬の大根やねぎの辛味など、季節の移り変わりを味から感じることもできます。

一年を通してさまざまな食材をいただくことは、食事の偏りを減らすきっかけにもなります。

なお、五味は東洋医学で食材の性質や働きを捉えるもので、栄養素の分類とは異なります。旬の食材だけですべての栄養を補うのではなく、主食や肉、魚、卵、豆類なども組み合わせて、身体を養っていきます。

「旬をいただく」という身近な習慣にも、季節とともに暮らす知恵が込められています。

体質のタイプだけでなく、季節に合わせた身体づくりを

患者さんから、「私の体質は、東洋医学では何タイプですか?」と聞かれることがあります。

インターネットで調べると、体質診断のチェック項目を目にすることも多いと思います。

生まれ持った傾向や長年の暮らしで培われた特徴はありますが、身体の状態はいつも同じではありません。

季節や気候、食事、睡眠、疲れ、心の状態などによっても変化します。

植物が春夏秋冬で姿を変えるように、私たちの身体も、周囲の環境に合わせて変化しています。

そのため、一度知った体質のタイプだけで、ずっと同じ食べ方を続けるのではなく、今の身体を確かめることが大切です。

2Faceでは、体質の名前を知ること以上に、「今の季節に合わせた身体づくりができているか」にも目を向けています。

毎年同じ季節に不調を繰り返す場合は、その時期の食事や暮らしを振り返る手がかりになります。

季節ごとに身体のトラブルが起こる理由

私たちは同じように日々を過ごしているつもりでも、身体は季節の変化に対応しています。

例えば、夏は暑さに応じて汗をかき、身体の熱を逃がします。冬には、寒さから身体を守るための過ごし方が必要になります。

東洋医学の養生では、春夏は外へ向かう活動を、秋冬は休息や蓄えを意識するなど、季節に応じた暮らしを大切にしています。

一年中、同じ食事、同じ服装、同じ活動量で過ごしていると、その季節や身体に合わないことも出てきます。

例えば、夏に汗をかきにくく、熱がこもってつらい。冬に冷えが強く、なかなか温まらない。

こうした変化は、食事や日々の過ごし方を見直す手がかりになります。

不調にはさまざまな背景がありますが、その一つとして、季節の変化に身体が対応できているかを考えます。

また、春から夏、夏から秋、秋から冬と、季節はつながっています。

前の季節に重ねた疲れや、続いている食生活が、次の季節の身体に影響することもあります。

不調が現れた季節だけでなく、それまでの過ごし方にも目を向けながら、変化に対応しやすい身体を育てていく。

当院では、鍼灸施術でも、そのような身体づくりを大切にしています。

食べ物は薬。毎日の食事で心と身体を養う

栄養のある土と、十分に養われていない土とでは、育つ作物の状態に違いが生まれます。

私たちにとっての食事も、心と身体を支える土台です。

「食べ物は薬」という言葉には、毎日の食事を通して健康を養う知恵が込められていると考えています。

薬膳と難しく考えなくても、身近な旬の食材を、季節や身体に合う食べ方でいただくことから始められます。

特別な健康食材に縛られず、普段の食卓を少し見直す。

簡単だからこそ後回しになりがちですが、毎日続く食事には、それだけ積み重ねる力があります。

身近な旬の食材で、毎日の食卓に薬膳を

「この食材さえ食べれば健康になれる」

そのような一つの食材を探すより、それぞれの食材が持つ良さを、日々の食事に取り入れていくことが大切です。

一つの食材ですべてを補えるわけではありません。だからこそ、季節ごとに食材を変え、さまざまなものを組み合わせていただきます。

特別なものだけが「スーパーフード」なのではなく、いつも食卓に並ぶ身近な食材にも、それぞれの役割があります。

旬の食材を、その時々の身体に合わせて選ぶ。

いつもの食卓を、季節と身体に合わせていくこと。

それが、日本の暮らしの中で無理なく続けられる薬膳の入り口だと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本日も皆様にとって素敵な1日になりますように。

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この記事を書いた人

札幌市中央区の鍼灸院「2Face」を運営。

東洋医学の考えをもとに、身体の土台を整え、女性の身体や妊娠・産後、子どもの身体に寄り添う施術を行っています。

「内側美が外側美をつくる」を大切に、日々の暮らしと身体について発信しています。

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