タンパク質不足は、未来の元気不足。

こんにちは。

寒暖差の大きい日が続き、暖房と冷房を使い分けるなど、体調管理の難しい時期が続いておりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、いよいよ夏至が終わり、本日から二十四節気の「小暑(しょうしょ)」を迎えます。

小暑は、二十四節気の一つで、「暑さが本格的になり始める頃」を意味します。
梅雨明けが近づき、強い日差しや入道雲、蝉の声など、夏らしい風景が少しずつ広がっていく時期と同時に気温や湿度が高くなり、熱中症や夏バテにも注意が必要な季節です。

今回は、熱中症や夏バテを予防するために欠かせない「タンパク質」について、なぜ大切なのか、そして毎日の生活で無理なく取り入れる方法をご紹介します。

タンパク質は、毎日の健康維持や丈夫な体づくりに欠かせない栄養素です。
熱中症や夏バテの予防はもちろん、一年を通して意識的に摂取することが、健やかな毎日につながります。

今回の記事が、皆様の健康づくりの一助となれば幸いです。
ぜひ日々の食生活に、タンパク質を上手に取り入れてみてください。

東洋医学における精とタンパク質の重要性

精とは、生命力や成長・発育の源となるエネルギーです。下記の2種類が存在します。

「先天の精」(せんてんのせい)両親から受け継いだ生まれ持った生命力のことで、年齢とともに少しずつ減っていく貯金のようなものです。

「後天の精」(こうてんのせい)
誕生後に飲食物を消化・吸収、呼吸によって日々作り出されるエネルギーの源で、例えるなら毎月の収入です。

同じ年齢であっても、体力のある人とない人、若々しく見える人と老けて見える人、病気にかかりやすい人とかかりにくい人がいます。

このような違いには、「後天の精(日々の食事や呼吸)によって、先天の精(体力の貯金)に日々どれだけ貯金が出来ているのか」が関係しています。

もちろん、「先天の精」に貯金が多い人ほど、気力や体力に恵まれ、元気という事になります。

「先天の精が充実している=気力や体力が充実し、生命力にあふれた状態」と捉えていただくと分かりやすいでしょう。

そしてこの収入と貯金、両方の「精」を養うために、欠かせない重要な栄養素の一つがタンパク質です。

画像

タンパク質不足で現れるサイン

タンパク質が不足すると、東洋医学でいう「後天の精」を十分に補うことができず、「先天の精」への貯金が減ることで、体を修復・再生する力や、生命活動に必要なエネルギーを生み出す力が低下し、さまざまな不調が現れやすくなります。

✔️ 慢性的な疲労感、疲れが抜けない
✔️ めまい、立ちくらみ、貧血傾向
✔️ 胃腸の不調、食欲不振、むくみ
✔️ 肌・髪・爪のツヤやハリの低下
✔️ 手足の冷え、生理痛、生理不順
✔️ イライラしやすい、気分の落ち込み、集中力の低下

女性こそタンパク質が必要な理由2つ

女性だからこそ、タンパク質は欠かせない栄養素です。
その理由を2つご紹介します。

・女性こそタンパク質が必要な理由1,女性は毎月、月経のために血液を失う。

月経のある女性は、毎月月経によって体内から大量の鉄が失われ、その回復を待つことなく次の月経がやってきます。

そのため、本来は食事による意識的な鉄分補給が非常に重要で、月経のある女性は成人男性の2倍以上の鉄分を摂取する必要があります。

意識的に補充するといった感覚が薄れてしまうと、どんどん「精」は減っていってしまうイメージです。
鉄分は、お肉や魚などの動物性タンパク質と一緒に摂ることで吸収率がアップします。

画像


・女性こそタンパク質が必要な理由2,妊活・妊娠・出産・子育て・更年期、それぞれのライフステージでタンパク質が必須。

1,妊活中:東洋医学では、「先天の精」と「後天の精」を十分に養うことが、妊娠しやすい体づくりの土台になると考えられています。

肉、魚、卵、などの毎日の食事で良質なタンパク質をはじめとする栄養をしっかり摂ることは、「後天の精」を養い、「先天の精」を支え、子宮や卵巣への血流が促され、着床しやすい内膜が育ちます。


2,妊娠中:妊娠中から既に子育ては始まっています。
妊娠中のタンパク質は、赤ちゃんの筋肉や臓器、脳などの発育成長に必要不可欠なのもはもちろん、良質なタンパク質を摂ることは、お母さんの「精」を補い、つわりや妊娠中の疲労、腰痛などのマイナートラブルを防ぐための土台になります。

3,産後〜子育て中:産後は、出産によって「先天の精」と「後天の精」を大きく消耗した状態にあると、東洋医学では考えられています。

実際に産後の体は、全身打撲に近い状態であり、交通事故や大きな手術を受けた後に匹敵するほどのダメージを負うともいわれています。
帝王切開の場合は、腹部の手術による回復も重なるため、さらに十分な養生が必要になります。

昔は「産後の肥立ち」という言葉があるように、出産後30日から100日ほどの間は、赤ちゃんのお世話以外のことはできるだけ避け、十分な休養と栄養をとることが大切だと考えられていました。この時期は、「自分を産み直す。」つまり、出産で大きな負担を受けた心と体を整え直すための大切な時間とされてきたのです。

こうした産後の養生を十分に行ったとしても、出産による心身へのダメージが完全に回復するまでには、およそ6か月から1年程度かかるといわれています。

しかし現代では、核家族化の進行や共働き世帯の増加などにより、産後に十分な休養を取れないまま、育児や家事に追われたり、早期に仕事へ復帰したりする方も少なくありません。

さらに、母乳育児や月経の再開に伴う継続的な鉄分の消耗に加え、2人目、3人目と妊娠・出産を重ねることや、終わりの見えない育児による疲労が積み重なります。

その結果、心身が十分に回復しないまま毎日を過ごし、後天の精が底をつきかけた状態になっている方も少なくありません。

慢性的な疲労感や気力の低下、さまざまな不調を抱えながらも、「育児だから仕方ない」「年齢のせいだから仕方ない」と無理を続けてしまうケースもみられます。

東洋医学では、このように妊娠・出産や育児、加齢による長年の消耗が積み重なって現れる心身の変化が、更年期症状の背景の一つになると考えられています。(更年期は、当たり前ではないです。)

そのため、女性は妊娠・出産、育児、更年期と、それぞれのライフステージで「精」を大きく消耗すると考えられています。

この「精」を養い、健やかな心身を維持するためには、体をつくる材料となるタンパク質をしっかり摂ることが欠かせません。

画像

1日のタンパク質量の目安

各食材のたんぱく質量は栄養成分表で調べることもできますが、毎回確認するのは少し手間がかかります。

そこで、私が患者さんにお伝えしている目安は、「自分の体重を2で割り、その数字の最後に0をつける」というシンプルな方法です。

例えば、私の体重は52kgなので、52÷2=26。
最後に0をつけて260gが、1日に食べる肉や魚などのたんぱく質源の目安になります。

ちなみに、厚生労働省が定める18〜64歳の成人女性の1日あたりのたんぱく質の推奨量は50gです。

豚肩ロースや牛ひき肉なら約260gでたんぱく質は約50g、豚もも肉なら260gで約52〜57gのたんぱく質が摂れます。
そのため、この大まかな計算方法でも、1日の推奨量を無理なく満たしやすくなります。

ただし、この1日に必要なタンパク質量は、あくまでも最低限の目安です。

不足している量は、その方のライフステージや1日の生活スタイル、活動量などによって異なり、人によってかなり個人差があります。

数字だけにとらわれすぎず、まずは最低ラインを目安に試された上で、ご自身にはどれくらいのタンパク質が必要なのかを、体調や体の変化を通して感じてみてください。

当院に通われている方は、肌肉(筋肉)の張りやお体の状態をみながら、タンパク質が足りているかどうかの目安をお伝えできます。気になる方は、お気軽にご相談くださいね。

タンパク質のお勧め食材と控えて欲しい食材

お勧め食材1,赤身の肉(豚肉)
東洋医学において、豚肉は「精(せい)」を強力にチャージする食材です。
疲れやすい体質や、病後・産後の体力回復など、心身を根本から立て直す滋養強壮の特効薬として重宝されている、天然のスーパーフードです。
特にお勧め部位は、赤身が多い「ヒレ」「モモ」「カタ」の3つです。

お勧め食材2,牛肉
牛肉も豚肉と同様に、精をつけ、胃腸の働きを高める作用があります。
私は時間があるときにハンバーグをまとめて作り、冷凍保存しています。
疲れを感じたときや、「今日はタンパク質が足りていないな」と思ったときに食べるようにしています。

画像


お勧め食材3,良質な卵(平飼い卵)
卵は、鶏をケージに入れず、鶏舎内を自由に歩き回れる環境で飼育された平飼い卵がおすすめです。
ストレスが少なく、より自然に近い健康的な鶏から生まれるため、コクや旨味がしっかりしていて、癖のない味が特徴です。

画像


また、卵は加熱したほうがたんぱく質の消化・吸収効率が高くなることが知られています。
(生卵では約50~60%、加熱した卵では約90%前後)栄養を効率よく摂取したい場合は、加熱して食べられることをおすすめしています。

我が家では煮卵を冷蔵庫にストックしておいて、1日1〜2個、おやつ代わりに食べています。

画像


控えて欲しいタンパク質食材1,鶏肉
昔の日本では、多くの家庭で鶏が庭先などで飼われており、卵を産まなくなった鶏を食べたり、祝い事のために育てた鶏を食べたりしていました。これらの鶏は、現在のブロイラーのように短期間で大きく育つような品種改良が行われていなかったため、成長が遅く、運動量も多い傾向がありました。
そのため、肉質はよく締まり、風味が豊かであるとされていました。

しかし、現代の安価な鶏肉は、コスト削減のために超過密な環境で飼育され、本来の成長速度よりも急速に大きくなるよう品種改良されていることが多いです。

そのため、運動不足や免疫力の低下を招きやすく、病気予防や成長促進のために抗生剤や成長ホルモンなどが使用されるケースがあります。

ストレスの多い不健康な環境で育った鶏と、昔ながらののびのびとした環境で育った鶏では、飼育環境の違いが健康状態に大きく影響します。

少し価格は高くなりますが、鶏肉が食べたい場合は、地鶏など飼育環境や品質に配慮された鶏肉を選ぶことで、より安心して食べられると思います。

控えて欲しいタンパク質食材2,大豆製品(胃腸が弱い方は要注意)
枝豆、納豆、豆乳、豆腐、大豆類、ナッツ類などの大豆製品は胃腸の弱い方が食べると消化不良を起こしてしまう可能性があります。
食べた後に、胃の張り感を感じられる方は控えられる事をお勧めしています。

控えて欲しいタンパク質食材3,プロテイン
東洋医学では、自然に近い食べ物を摂ることは、ただ単に栄養を補うだけでなく、季節や環境の変化に適応できる丈夫な体を育み、「精」を養うことにつながると考えられています。

プロテインは手軽にタンパク質を補えますが、プロテインに含まれている人工甘味料や香料、増粘剤などの食品添加物は肝臓に負担をかける可能性があります。

そのため、健康維持や「精」を養うことを目的とするなら、タンパク質はできるだけ自然な食品から摂られることがお勧めです。

タンパク質を吸収出来る体作りも大切

胃腸は、食べ物を消化して体に必要な栄養を取り込み、エネルギーや血をつくる工場のような役割をしています。
工場が元気に働いていれば、食べたタンパク質も効率よく体づくりに役立てられますが、胃腸が弱っていると、どんなに栄養価の高い食事をしても、十分に活かすことが難しくなります。

つまり、東洋医学では「何を食べるか」だけでなく、「食べたものをしっかり活かせる(吸収できる)胃腸を育てること」も健康な体づくりの第一歩です。

鍼灸では、一人ひとりの体質や胃腸の状態に合わせてツボを刺激し、胃腸本来の働きを整えることを目指します。

胃もたれや食欲不振、便秘や下痢をはじめ、「疲れやすい」「冷えやすい」「肌の調子が気になる」といった不調も、胃腸の働きが関係していることがあります。

“健康な体づくりは、栄養をしっかり取り入れられる胃腸を整えることから。”
鍼灸で内側から体の土台を整え、健やかな毎日を目指しましょう。


画像

最後に

東洋医学には「医食同源」という考え方があり、古くから「食べること」は健康を維持するための基本として大切にされてきました。

中医学が生まれた中国では、この「医食同源」の考え方が今でも家庭に深く根付いており、日々の食事を通して健康を守ることが、ごく自然な習慣として受け継がれています。

また、中国には「民は食をもって天となす(民以食為天)」という言葉があります。

これは、「食は人にとって何よりも大切なものであり、生きる上での基本である」という意味です。この教えは親から子へと受け継がれ、家族の健康を支える大切な考え方として今も息づいています。

そのため、家族の体調が優れないときには、その様子を見ながら体調や体質に合わせた食事を用意し、食を通して健康を支えるという習慣が今でも大切にされています。

このように、私たちの健康は毎日の食事によって支えられています。

そこで今回は、体に必要なさまざまな栄養素の中でも、現代の食生活で不足しがちな「タンパク質」に注目し、その大切な役割や上手な摂り方についてまとめてみました。

改めてタンパク質不足は未来の元気不足。

毎日のタンパク質補給を心がけ、「先天の精」と「後天の精」の両方を大切に養い、年齢を重ねても元気で活力あふれる毎日を過ごしましょう。

Ps,夏本番に向けて暑さも増してまいりますので、どうぞ無理をなさらず、くれぐれもご自愛ください。

関連記事

PAGE TOP