動けなくなったら。

こんにちは。
木々の葉もすっかり落ち、「冬が遂にやってきた。」と言った感じなのですが、今年の冬は例年と比べて私自身の体に大きな変化がありました。

それは、「冬が全然苦じゃない。」と言う事です。

物事ついた時から冬が苦手で、冬は家、職場、犬の散歩以外は極力外へ出ない引きこもり生活を遂行していたのですが、今年の冬はむしろ「外へ出掛けるのが楽しい。」何て思い始めている自分に驚いています。



そして、その変化の要因は体が変化したことが大きいと思います。

外へ出ても寒さが大した気にならない体が手に入ったお陰で、周囲の様子や音にまで意識を配れるようになったり、冬にしかない情景を目にして喜びに浸ってみたりなど、明らかに以前の自分とは異なるポジティブな感情が湧き上がっています。

これまで年単位で寒さ対策をコツコツと行ってきた結果だとは思うのですが、改めて体が変わればこんなにも受け取り方や周囲への見方が変化することを身を以て体感したのでした。

皆様の中には、もしかしたら今は目に見えたはっきりとした変化が感じにくい。といった方もおられるかもしれません。

しかし淡々と続けていた矢先に、ある日目に見えて変化を感じられるタイミングがくると思いますので、引き続き体に良い事は続けて長い目でご自身の体と向き合って頂けたらと思います。



さて、またしても前置きが長くなってしまいましたが、皆様の中々には様々なことを考え過ぎてしまった結果、遂に充電が切れたように動けなくなってしまった。という経験はありませんか?

今回は、そんな「無気力状態に陥った際の対処法」について書き綴りたいと思います。

なぜ今回このような事をテーマにしようと思ったのかと言いますと、一旦そういった患者さんが1人おられると、次々と連鎖するように同じようなお悩みをもつ患者さんがいらっしゃることが多いからです。

季節柄なのか、特に最近はそのような傾向が色濃く現れているなと感じていますので、心当たりがある方は少しでも参考にして頂けると嬉しいです。

また、東洋医学での冬の過ごし方は自然界の植物や動物が休眠に入るように、人間も秋に引き続きのんびり落ち着いて過ごす事が養生法となる一方で、人間界の冬は1年で最も忙しい季節です。


ここから本格的に年末年始に向け慌ただしい日々が始まる訳ですが、前述したような本来の季節の過ごし方と体の不一致が起きると、より「無気力感」を加速させてしまうことにも繋がります。


「別に無気力とかにならないよ。」と言った方でも、
今後の季節の過ごし方においての注意点を知るきっかけにもなると思いますので、1人でも多くの方の参考になりますと幸いです。

頭で考えたことを実行するのが体の役割


対処法に入る前に、改めて頭と体の役割についてお話をしたいと思います。
(東洋医学では頭のことを心と言いますが、今回は敢えて頭といった表現を使います。)


私達は日々頭と体の両方を使って生きています。今一度頭と体の働きを整理すると、頭は考えるのが役割で、実際に行動に移し実行するのが体の役割です。



そしてこの反対に”頭で考えたことが体で実行できない”時に、私達の体には様々なトラブルが生じます。


例えば私達の体に起こる怪我や不調はその代表的なものの1つです。


頭で「こうしよう。」と考えを膨らませたのにも関わらず、体がイメージした通りに動かなければ体の怪我に繋がります。



また、相手に伝えたいことがあるのに我慢し続けることでも体は病気になったりします。



このように、頭で考えた事を体で実行し初めて「頭と体」は結びつき、心身が健やかな状態というのが手に入れることが出来ます。

それは生きていく為に欠かせない、基本的な頭と体の使い道です。

その一方で現在の私達の身の回りには、わざわざ体を使って実行しなくとも頭で完結できる事が山程あります。

人によっては「気付いたらほとんど動かずに1日が過ぎていた。」なんて事は少なくないかもしれません。

きっと誰もが健康には心と体の両方が大切。ということを無意識に知っていながらも、よっぽど意識をしなければ、頭にばかり重き置く生活が当たり前のように日常に溶け込んでいるのではないでしょうか?

頭で考えた事を頭で完結できる。


それは一見、とても幸せな事のように感じますが、実際に私達は頭だけで生きている訳ではないので、あえて自然か不自然かで表現するならば不自然な事だと言えます。

そして何より、頭と体の両方を使って生きることが人間含め動物全般の生きる為の基本ならば、そのどちらかをなくして生活をすることは、私達の心身に大きな影響を与えます。

また、このような頭に重きを置く生活は今後益々加速していく可能性が高いです。


しかしそんな時代からこそ、「頭と体の両方を使って生きる。」という事を頭の片隅に置きながら生活を送ることは、自分自身の心や体を守る為の術になるのではと感じるのです。

ネガティブな感情と頭に重きを置く生活

頭ばかりに重きを置き体を極端に使わない生活を送る事によっての弊害がもぅ1つあります。

人間は脳が発達した事によって過去の嫌な事を記憶したり、未来を想像する力があります。


それも過去の良かった事だけを思い出し、良い未来だけを想像できれば良いなぁ。と思うのですが、残念なが、私達が頻繁に思い出す事と言えば過去の苦しい悲しい出来事だったり、起きてもいない未来の不安などと、基本的にはネガティブな事で頭の中が埋め尽くされている場合がほとんどだと思います。

しかしそれには大切な意味があり、かつて人間がサバンナの中で敵に遭遇した時に危険を察知し、命を守る為の記憶と予知の名残りだそうです。

そして、その名残は現代に生きる人々や昔に生きてきた人々の間でも変わらないと言われています。

しかし、その中で目に見えて人間の中で劇的に変化したことがあります。

それは、何度もお伝えしているように「体を極端に使わなくなった。」ということです。

一体それの何が関係あるの?と思われるかもしれませんが、体は単に頭で考えたことを実行するという役割以外にも、体を動かす事で「考えを止める」という働きもあります。

例えば全速力で走ったり、ハードな筋トレをしている時に他の事を考えられる人は恐らくいないと思います。

基本的に人は体を動かすことで、その時だけでも思考を止める事ができます。

また、動物は特に分かりやすく、彼らは一生懸命ボール遊びをしたり、お散歩に行っている時に「今日の朝ご飯少なかった。」なんて恨んだり、怒る事はないと思います。
きっと無我夢中にその事だけに熱中しているはずです。


これは東洋医学の知識を借りたり、患者さんや自身の体を通し私なりに運動について辿り着いた結論にはなりますが、運動にはストレス発散以外にも、頭の中に次から次へと湧き上がってくるネガティブな思考を止めることができる。と言った頭を休める意味合いも含まれているのではないかと感じています。

そういった意味では、昔の人々もネガティブな感情を持つ。といった人間の本質的な部分は変わらなくとも、身の回りのほとんどの事を体でこなしていかなければならない。といった状況が、かえって頭と体のバランスを保ち、ネガティブな思考を必要以上に溜め込み過ぎない事にも繋がっていたのではと感じるのです。


つまり何が言いたいかと言うと、私達は日常的に頭に重きを置く生活を送っている上に、更に過去の辛い記憶や未来の不安など、ネガティブな感情が定期的に積み重なるとなると、頭の中は常に考え事でいっぱいになり、遂に動けなくなるといった無気力状態作り出してしまいます

患者さんの中には運動をしている時や眠りにつく夢の中でさえも思考が止まらない方も少なくありません。

動けなくなるのは、体からの強制ストップ

これ以上考えると壊れてしまう。そう体が異常を察知すると、体は強制的に考えることを停止させ、休ませようとします。

それは、ある意味自分自身を守る為の術です。

東洋医学では、気力も体力を奪う事の1つと考えられていますが、正に頭で考え気力を使い果たした結果が、体にまで影響を及ぼすといった事に繋がっています。

もちろん体が動かなくなるのは、“単純に体が疲れ過ぎて動かなくなる。”と言った事もありますが、現代は余程激しい運動をしない限りは、体が動かなくなる位の疲労感を得るのは難しい。と言うのが正直なところです。

また、体が動かなくなる原因が頭の使い過ぎ(考え過ぎ)よるものなのか、体の使い過ぎによるものなのかの決定的な違いは経過になります。

例えば、肉体的な疲労であれば休みさえすれば日に日に体の疲労感が取れ、2,3日もすれば体は回復し動けるようになる場合が多いです。


反対に、頭の使い過ぎによって動けなくなる場合は、疲れている筈なのに「眠れない。」「眠りの質が悪い。」その結果、日中が無性に眠いなど睡眠に影響が現れるといった場合が多いです。


休めば休むほど調子が悪くなっているような感覚がある方は、頭の使い過ぎによって引き起こされてい場合がほとんどです。

動けなくなった時に行う回復ステップ3

体が急に動かなくなるのは、主に頭の使い過ぎによるものと、体の使い過ぎによるものがありますが、ここでは敢えてどちらかに振り分ける事なく、体が動かなくなった際に行って頂きたいステップ3つをご紹介いたします。

1,2,3と進む中で、現在のご自身の体の状態に合うものを取り入れて頂ければとは思います。

1,とことん眠りにつく
眠っている間は、何も考える事のない至福の時間です。
睡眠には、心と体に蓄積した疲労を回復してくれる働きあるので、とことん眠りにつけば、体は回復し心も前向きになります。


仕事がいつも通りあって休めないという方は、夜は21時〜か遅くても22時には布団に入り、早めに眠りにつくことをおすすめします。

また、お休みの日であっても上記の時間帯に眠りにつき、起きる時間は気にせずに睡眠時間を取られると良いです。

2,少しずつ体を動かす
とことん眠ることを2,3日続けていれば、大抵は眠る事にも飽き、今度はこれまでのように寝ようとしても眠れなくなる。といった事が起こり始めます。

そんな時は、「体が回復してきたよ。」のサインになるので、次は少しずつ体を動かすようにされてみて下さい。

3,頭と体を同じくらい使えるよう意識する
充分に休み、少しずつ体を動かせるようになったら、次は頭と体を同じくらい使うことを意識します。

但し、ここでいう体を使う方法は運動だけではなく家事も含まれます。

私の場合はモップを使わずに雑巾掛けをしたり、洗濯をする際も手洗いしてみたりなど、あえて不便な事をして体を使うように意識しています。

但し現実的に頭を使う時間と同じくらい家事や運動に時間を取るのは難しいと思うので、通勤の際はエレベーターを使わず階段で歩く、一駅手前で降りて歩くなど、日常生活の中に体を使うことを意識されてみてください。
(家事の中でも特におすすめしたい方法を、下記の冬のおすすめの体の動かし方にて記載しています。)

繰り返す事で自分のパターンを知る

無気力状態になった際は、前述した1,2,3のステップを繰り返し繰り返し行うことで、だんだんと自分自身が今どれを行えば回復するのか、何を必要としていのか。などのパターンも見えるようになってきます。

頭だけで解決法を考えても答えが出てこない場合でも、実際に体を通し分かることが沢山あります。

自分自身の体の回復力を信じ、体に身を委ねる事で、漠然とした不安や心配を抱えられる事も少なくなるはずです。

冬は特に考え過ぎに注意する

自然界では冬は全ての活動がストップする休眠の季節であり、人間も冬は落ち着いてゆっくりと過ごす事が養生法になります。

しかし実際の人間の冬はイベントが重なり、仕事も繁忙期を迎えるなど、1年で最も忙しい季節です。

本来はしっかり休むべき季節に休めないどころか目まぐるしく忙しいとなると、免疫力も下がり風邪やインフルエンザなどの感染症はもちろん、体調も崩しやすくなります。

夏の陽が盛んな季節であれば、外へ出て太陽を浴びるだけでも体を通し頭の中もリセットされますが、冬は鬱っぽくなられる方もいらっしゃるように、冬の「溜め込む。」という作用や陰のエネルギー、本来の季節の過ごし方と体の不一致なども相まって、忙しくなればなるほど鬱々とした気分にもなりやすいです。

冬のおすすめの体の動かし方

冬は特別な運動などをしなくても、家事で体を動かす。と言うのが、私の冬の運動になります。

その中でも特におすすめしたいのが整理整頓・掃除です。

「正直こんな事を提案されて面倒臭いな。」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。(以前の私です。)

しかし、これは体感しなければ分からないのですが、個人的には歩く・走る30分と無我夢中で行う掃除には同じくらいの疲労感や爽快感があったりします

その時のコツは、“考える隙のないくらい、全力で行う”がポイントになります

頭の中がいっぱいいっぱいになっている時は良い解決策や決断が出来なかったり、むしろ心配事や不安事が次々と増えると言った悪循環が起きやすいです。

「部屋の乱れは心(頭)の乱れ。」と言った言葉があるように、考え事が多い時は家の中も散らばっていることが多いです。

そんな時に無我夢中で行う整理整頓・掃除は頭の中の思考を止めクリアにしてくれると同時に、体の内側から沸々と気力を湧き立たせくれます。

(また別の機会にお話しますが、整理整頓・掃除には元々は「体を整える。」といった意味が含まれていたりします。)


1年の汚れや垢を落とす大掃除の意味合いも兼ねて、これからの季節に是非行われてみてくださいね。

心の余裕は体の余裕から。

「あれこれ考えて色々と忙しい。」「やる事が沢山ある。」と仰られる患者さんの体を見せて頂くと、もれなく“余裕のない体”になっている事がほとんどです。

余裕のない体は具体的にどんな体かと言うと、どこをとっても硬く緊張し、動きの少ない体です。

正に心の余裕の無さが体を通しダイレクトに現れています。

もちろん、そのような時は自分の体に意識を向ける余裕もないので、気付けば「いつも行っていたストレッチをいつの間にかやらなくなってた。」「子供にだけ栄養あるものを食べさせて、自分はお菓子や加工食品で済ませいた。」「毎晩お酒を飲んで考えないようにしていた。」など、自分自身の体の事については疎かになってしまっている場合が多いです。

もしも私達が激しい歯の痛みや頭痛に見舞われた際に「心を健やかに…」なんて事が出来ないように、まずは痛みや不調を取り除くことを優先してから心が安らぐ何かしらのことを取り入れる筈です。

心に余裕を持ちたいのであれば、まずは体に余裕を持たせる事で、自ずと心の余裕が出てきます。

また、余裕のある体とは、動きの少ない凝り固まった体とは反対の子供のような柔軟性のある伸びやかな体です。

余裕がない時こそ、体に向き合う

余裕がない時は、自分を蔑ろにしてしまいがちですが、余裕がない時こそ体に目を向け、体を使うことに意識を向け生活をしていると少しずつ気力が湧き始め、体の中が循環するように頭の中も循環することで、また新たな決断や解決策を見出せるという場面を私自身や患者さんの体を通し体感しています。

そんな時、改めて人間は頭だけではなく体で生きているんだなぁ。という事に気付かされるのです。

これまで気力が無くなった際にお勧めの方法、眠る、動く、整理整頓・家事などを紹介しましたが、「もう本当に何も出来ない。」と言う方は、寝る前の少しの時間だけでも良いので音のない空間の中で体を優しくストレッチし、リラックスされてから眠りにつくというのを習慣にして頂きたく思います。

最後に

私には尊敬している祖母がいます。
現在1人暮らしをしている90目前の祖母はお産以外で入院した事がなく、健康診断にも行った事のない祖母です。
骨折して入院を勧められた際にも拒否して帰宅。
痛み止めもよっぽどでないと飲まず、風邪をひいても逆療法をして暑い風呂に入ったら治ると言って本当に治してしまいます。

自分では病気にならない理由を「能天気だからよ。」何て笑い飛ばしていますが、時代背景からもも到底そんな風には思えないのです。

しかしそんな祖母には、昔から現在まで変わる事のないルーティンがあります

それは早く寝て、早く起き、家の中の家事をこなし、よく食べ、よく動くことです。

これまでインフルエンザとコロナで2日程寝込んだ姿は目にしていますが、このルーティンは基本どんな時でも変わりません。

そんな祖母の性格は、思った事はパッとやってしまわないと嫌な性分で、口癖は「やる事やってから、自分の好きな事やれば良い。」です。

やる事の中には料理、掃除、洗濯などの家事が含まれていますが、やる事が終わればさっさと外へ出掛け、夕飯までに帰宅し料理を作り、なんなら自分より年下の友人や私に自分が作った料理を振る舞っています。

もちろん若い頃と比べて出来ることも少なくなり、時間が掛かることや諦めなくてはいけない事もあるのですが、本人は出来るだけ精一杯、それらを一生懸命遂行しようとしています。

昔はそんな祖母の姿を近くで見ていて、「何が楽しくてやっているんだ。」なんて思っていたのですが、年老いても尚、昔と変わらずひたむきにやる事をやり続ける祖母の背中をみて、そこには健やかに生きる為の全てが集約されているような気がしています。

また、同時にそのような人生の先輩が身近にいることを誇らしく思っています。


最後になりますが、現代は無意識に頭で考え過ぎていることがとても多いです。
それが遂に行き過ぎてしまうと、無気力を引き起こしたり、遂には動けなくなってしまう。と言う事が起きてきます。

余裕がなくなりいっぱいいっぱい、やる気が出なくなってきたな。と感じたら、行き過ぎてしまう前に頭に重きを置いていたバランスを体に向ける意識をされてみて下さい。

また、人間は心(頭)と体の両方を使って生きている。と言うことを是非頭の片隅に入れて頂きたいと思います。

本日の記事がお役に立てますと幸いです。皆様が健やかな日々を過ごせますように。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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