西洋医学と東洋医学の違い
「病気を診る」西洋医学に対し、東洋医学は「人を診る」医学と言われています。
怒りや喜びなどの”感情”が体に”不調”として影響を与えるという内面を重要視するのも、この”人を診る”という東洋医学ならではの視点です。
東洋医学の根本の考え方に、人間は自然の一部であるという考え方があります。
人は、動物や草花と人間は別のものだと考えがちですが、実は自然界で生きる動物や草花、人間は自然界から見ると全て一緒。
自然界の中の生きとしいける全てのものは、自然界の気候による影響をいつも受け続けています。
気候がスムーズに進む時には全ての生き物の流れがスムーズに、不安定な時はそれらに異変が生じます。
同じく人間の体や心も気候が不安定であり自然法則から外れた時には、心身に不調が現れます。
しかし、私達には自分自身を治す力、自然治癒力があります。
東洋医学というのは、人間がこの自然治癒力を最大限に発揮することを目的とした施術です。
自然治癒力とは
自然治癒力は、「自分の力で不調や病を癒し、治そうとする力」のことです。
これは決して特殊な能力がある方だけが発揮出来るものではなく、本来は誰にでも備わっているもの。
例えば、風邪を引き熱が出るのは体が早くウイルスを排除し、体を回復しようとする働き。
また、何か変なものを食べて下痢になってしまった際も、同じく体に害となるものを体の外に排出して、体を回復させようとする自然治癒力の影響です。
このように自然治癒力は、失われた体のバランスを調和させ、自分自身を守ろうとする体の自然な働きです。
不調や病気に悩まされることは、普段私達が当たり前に行っている考え方や行動の何かしらに不自然な点があった為に体に現れるサインです。
不調や病は不自然になった方への警鐘といえます。
自然治癒力が低下している状態とは
突然ですが、頭の中で渋滞中の道路をイメージしてみて下さい。
事故や連休などの理由で渋滞に巻き込まれた際、私達は目的地まで思い通りに辿り着く事が出来ず、不安やイライラを引き起こします。
その一方で車の流れがスムーズな時は予定通りに目的地に辿り着くことが出来、気分が良いはずです。
正にこの大渋滞は私達の体の中にも引き起こされます。
そしてその状態そのものが、自然治癒力が低下している状態です。
人間の身体には361個の経穴(ツボ)があり、全てのツボが五臓六腑の内臓と繋がっています。
内臓が目的地だとするのなら、ツボは目的地に素早く辿り着く為の「高速道路」のようなもの。
気候、食事、喜怒哀楽等、様々な要因が重なり、道路はもちろん、361箇所の高速道路にまで影響し、行き場を失くし大渋滞を引き起こした結果が私達の心身の不調や病となって現れ始めます。
鍼灸は、自然治癒力を発揮させる療法
鍼灸治療は各内臓(目的地)に繋がるツボ(高速道路)を使用し、体の中で起きている大渋滞の流れをスムーズに促す事により不調や病の回復を目指す療法です。
その際は、薬や器具などを一切使わずに人に本来備わっている自然治癒力のみで体力を回復を行います。
私が自然治癒力を高める為に行っている施術
・痛みのない優しい施術
刺激が強い痛みを伴う施術は、ただでさえ弱っている体を疲れさせ、かえってその方の自然治癒力を奪い回復力を遅らせてしまう事になります。
心身の健康の原則は“自然か不自然か。”
食べ物や思考、行動を含め、本来の自然からかけ離れたものは、私達の思いとは裏腹に体にとってはダメージとなります。
人は自然的である程、心身の病に抵抗する回復力(自然治癒力)を高めさせ、不自然な刺激や痛みは人を緊張、疲弊させ、悪化させる事に繋がります。
また、現代は生活環境により虚弱体質な方々が多い時代です。
痛みのある刺激的な鍼を行うことは、かえって体と心を疲弊させる事になってしまいます。
優しい痛くない鍼を行うことは、現代の方々の体力に合わせた、自然治癒力を高める方法になります。
・短時間の施術
私が行う1回あたりの施術時間は15分程度の治療です。
強く、長く、刺激があればある程、人は興奮を覚え満足しますが、次第に体はその刺激にも慣れ、より強い刺激を求めるようになります。
強い刺激を受け続けていると、自然治癒力を引き出す事が難しくなるのはもちろん、本来体に備わっている正常な感覚を鈍らせてしまう事にも繋がります。
自分自身が求める刺激と、体が心地良いと感じる刺激は異なります。
体は、私達が思う以上に体に対し良いものや悪いものを判断し教えてくれるものです。
強い刺激で無理に変えようとするのではなく、その方の体力を引き上げながら、ゆっくりと変化させる事が長い目で見た時に完治に繋がる事だと確信しています。
そのような事から、当院では施術時間を短く設けています。
刺激や情報過多により、みんなが疲れる時代
現代は刺激や興奮だらけの世の中です。
食べ物、テレビ、SNS、ゲーム、音楽
いつも欲しいものや情報が当たり前に手に入り、
何不自由のない、何もかもがありふれているのが日常です。
しかし、このような興奮や刺激が強すぎる現代に生きる私達の心は疲弊しています。
なんでも手に入り便利なはずが、何故か無気力で幸せを感じにくい心と体。
だからこそ、無限にある外の刺激を求め自分自身を満たし、より良くしようとするのではなく、今ある自分自身の力を使い、伸ばしていくことがより一層大切な事だと感じています。
そして、東洋医学の自然治癒力と言うのも「自分自身に今ある力を使い、より良い心や体の状態にしようとする事の1つ。」
鍼灸を通し自身の内側を見つめ、不調や病と向き合う過程で、自分自身から生まれる様々な感情から楽しみや喜びを得られる、そんなきっかけ作りになれば嬉しい思っております。
東洋医学を通しての心得
当院には診断名がある方から、診断名のつかない原因不明の方、どこへ行っても良くならなかった方が多く訪れます。
ある意味、一時的な肩こりや腰痛などで来院される方は少ないかもしれません。
そのような方々に、これまで通っていた病院や治療院と同じような治療を行っても治る可能性は低いと考えています。
診断名や痛む箇所、目に見える症状に囚われる事なく東洋医学の”人を診る”という医学を使い、
「今あなたの体には何が起こっているのか?」という現状をしっかり確認し、身体全体との繋がりや生活習慣も踏まえて、患者さんひとりひとりの根本的な改善を目指しています。
その為、鍼の施術以外に食事指導や東洋医学による心の保ち方や体の使い方、感情と不調の関係性などによるアドバイスも積極的に行っています。
根本治療には、私だけではなく患者さんの力も必要です。
施術自体は私が行うものですが、それ以外の日々の施術は患者さん自身が自分に行う施術になります。(食事、運動、心の保ち方等)不調や痛みが完治した先も、2度と再発しない為にも、その患者さんが日常生活で無意識的に行ってしまう「不調に繋がる癖を一緒に治していきたい。」
そう考えています。
今後も患者さんと二人三脚で、現在よりも快適な日々を過ごせることを目標に精進して参ります。
最後に
たまに食べるケーキが美味しく感じられるように、たまに行うイベントが心を弾ませるように、
普段の刺激が少なく平穏な日常だからこそ
たまにの刺激がとてつもなく有り難く、幸せに感じる事が出来ます。
外に求める刺激よりも、
内にある何の変哲も無い平穏を大切に。
あらゆる全ての刺激は、足りない位で良い。
足りない位が、ちょうど良い。
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