生理は健康のバロメーター

こんにちは。

先日秋分を迎えましたね。
秋分は、昼と夜の長さが同じになる日。
東洋医学では、季節に寄り添った食事や日々の過ごし方が心や体を整える為にとても重要だと考えられています。

秋分に入ったことを境にこれまでの生活を振り返ってみたり、今後の生活を見直すといったことをしていると、改めて節目の力は偉大なんだななぁ。と感じるこの頃です。

さて、秋に大切な過ごし方の内の1つに整理が挙げられます。


秋は紅葉と落葉の季節。
冬を迎える為に木々は成長をストップさせ、落葉を行い栄養分を幹の方に溜め込みます。

要らないものは捨て、必要なものだけを取り入れる。
人間の場合は夏に活発に過ごしていた行動範囲を少しずつ狭め、ゆったりと心を落ち着けて過ごす季節です。

正に秋をきっかけに、「整理整頓」が自然界や人々の行動や感情など多方面で行われています。

そんな秋に重要な整理ですが、季節関係なく女性の体には、毎月必ず起こる整理があります。

それは「生理」です。

生理は妊娠をする為に備わった女性の機能ではありますが、「いらないもの整理してまた1から足してゆく。」といった事を1か月のサイクルの中で毎月行っています。

整理して足すこと。

一見当たり前のように感じますが、そのサイクルが崩れてしまうと女性の体には生理にまつわる様々な不調が現れます。

また、生理は健康のバロメーターです。

生理に不調があった際は、生理を通しご自身の体の様子を知ることができます。

その為には、日頃から生理を整えておくことが大切です。

最近は夏から秋への季節の変わり目や、秋の整理作用も相まって、生理痛や生理不順、不正出血など、何かしら生理に乱れが生じやすい患者さんが多くみられますので、今回の記事がご参考になれば幸いです。

生理には大きく分けて3つの周期がある

1、準備期間(始まり)イメージ:足す、補う、蓄える

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準備期間は生理直後から排卵日を迎えるまでの約1週間です。

この準備期間は生理が終わり、子宮の中が一旦リセットされた状態から、1からまた卵子を育てていく期間になります。

元気な卵子を育てる為にはタンパク質や野菜をしっかり食べ、体に栄養を足してゆくことが大切な期間です。

また、何事も無理をし過ぎず、1か月の中でも特にリラックスをして過ごしたいのがこの期間になります。

しかし様々なネットなどの情報では、1か月の中で最も調子が良い絶好調期などと呼ばれ、アクティブに過ごすと良いと言われています。

実際患者さんの中でも生理が終わったばかりの開放感から、この期間は特にアクティブに動き過ぎてしまったり、つい無理をしてしまったり、自分の事よりも家族に奉仕し過ぎてしまうと言われる方が少なくありません。

但し、体はあくまでも卵子を育む期間ですので、外へ向かって色々と行うというよりも、自分自身に意識を向け、栄養や気力などを1から足してゆく。といったイメージを持たれたると良いと思います。

また、この期間に無理をし過ぎてしまったり、栄養の偏りによる栄養失調などが起こると、体は次の排卵を起こす為に必要な力が不足するため、不正出血などを引き起こしやすくなります。

妊娠を希望されている方で無排卵などと言われる場合も、上記のような事を上手くすすめられなかった場合に起こりやすいです。

2、排卵期間(中番)イメージ:動く、使う

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排卵期間は、排卵日から生理が始まるまでの約2週間のことを言います。

卵巣の中で充分に育った卵子が排卵により卵巣を飛び出し、卵管を通って子宮内膜まで移動します。

排卵期間は、卵子を目的の場所までスムーズに移動させてゆくことが大切になるので、体の巡りを良くする為に体を動かすことが重要になります。

よくこの期間にイライラしたり、浮腫む方が多いのは、体からの「動いて巡らせてね。」のサインです。

しっかり準備期間に必要なものを体に補ったのであれば、補ったものを動かし、後は使ってゆくだけなので、是非アクティブに過ごしていきたい期間です。

また、注意点としてはこの際に特に体を冷やすと卵子を移動させる為の力が停滞するのと、生理を排出する際に使う筋肉の働きが悪くなり、生理痛が悪化するので、外からの冷えや飲食の冷えには充分注意されてください。

それ以外は多少無理しても大丈夫な期間ですので、心と体の両方を使ってあげてくださいね。


3、生理期間(終わり)イメージ:整理、リセット

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生理期間は、生理が始まり終わるまでの約4〜7日間の期間です。

体に必要のないものを外に出してゆく期間ですので、受精に至らなかった卵子は子宮内膜と共に体の外へ排出されます。

正に体の中の「整理」が行われる期間です。

別名デトックス期間とも言われています。

これまでの足してゆく力、動かしてゆく力を意識して過ごしていたのであれば、後は流れに身を任せ、自然と体がリセットされるのを待つだけの期間なので、その時の心や体の状態に合わせて過ごされてみてください。

生理にまつわる不調は、この生理期間によって貧血や生理痛などを訴えられる方が多いですが、貧血は準備期間の過ごし方、生理痛は準備期間や排卵期間の過ごし方に問題が隠れている場合が多いです。

準備期間に体をなるべく汚さない質の良いものを充分に食べることや、排卵期間に体を動かすといった事を行うと、生理痛の原因となる血の塊は軽減し、骨盤がスムーズに開閉しない事などによって引き起こされる生理の痛みはありません。

私達は、生理痛などの不調が目に見えて現れやすい生理期間だけに注目をしてしまいがちですが、生理期間は自身の約1ヶ月の生活の総合評価が現れているだけで、根本の問題はその前段階に隠れている場合が多いです。

前段階を見ず、生理期間だけに着目して様々な対策を行っても、中々好ましい状態に繋がる場合が少ないので、その前段階に何が起きていたのかを知り、対策していくことが大切になります。


診断名は一旦置いておく

私達の体は日々バランスを保ちながら生きています。

体に現れる不調は、日々の生活の中で様々な原因が重なりそのバランスが崩れ、何れ限界を迎えた時に体が不調として私達に教えてくれているものです。

その事からも、不調は自分自身の生活を見直すきっかけに過ぎません。

婦人科にまつわる症状には、生理痛、生理不順、不正出血、子宮内膜症から子宮筋腫など様々なものがありますが、もし仮に診断名などがついた場合であっても、婦人科だけに着目するのではなく、あくまでも体全体をみて整えてゆくことが大切になります。

あまり診断名ばかりに囚われ過ぎてしまうと、診断名ばかりが気になって本質が見えなくなってしまったり、必要以上に自分自身を責めたりといったことも起きやすいので、まずは大きな視野をもってご自身の状態をみていかれると良いと思います。

婦人科の不調は最後に治るところ。

東洋医学での婦人科系の不調は、最後の最後に治るところです。

肩こりや頭痛、腰痛などの表面上に現れている不調が改善され、あらかた体の調子が良くなった場合でも、1番最後に残るのが婦人科系の不調になります。

また、過去に婦人科系の不調を抱えられていた方で現在は治ったように思われていた方であっても、表面上の不調を改善した後に、過去の治り切っていなかった婦人科の不調が現れてきた。なんて場合も少なくありません。

私はよく、そういったことを地層の奥底が現れてきた。などと表現したりもするのですが、ゲームで例えるなら正にラスボスのような存在です。

表面上の不調が沢山あればあるほど、また婦人科系の悩みを長年抱えられてきた方ほど、改善するまでには時間がかかりますので、長い目で見ていかれると良いと思います。

妊娠を希望しないなら、生理はなくて良い?

生理痛、子宮内膜症、子宮筋腫などの原因には諸説ありますが、現代の医療では一般的に原因不明で解決策がない為、ピルやジェノゲストを使用し生理自体を止めてしまうといった事を「治療」としています。

現代では早ければ小学生から服用されてるといった場合も少なくありません。

しかし、生理は何十万年も前から女性に備わっている機能です。
閉経を迎えるまで、生理があることは体にとって自然なもので、生理ありきで女性の体はバランスを保ち機能しています。

“今は妊娠を希望していないから生理を止めても良い”
“将来妊娠をする予定はないから生理がなくても良い”


など、生理を妊娠の為だけに必要なものだと安易に考えてはならない問題だと思っています。

ピルやジェノゲストなどのホルモン療法は治すのではなく、生理を止め、症状に蓋をしているだけなので、今までと同じ生活を送っていれば、治る事はほとんどありません。

むしろ私達の体は水面下で日々細胞や筋肉が生まれ変わり、着々と歳を重ね、今が1番若い時です。

自分自身の生活を振り返り、整えるといった事をせずにピルやジェノゲストなどのホルモン療法を長年行い、いざ服用を辞めた際にはもちろん以前の自分よりも年齢を重ねている訳なので、症状が進行しているといった場合も少なくありません。

妊娠を希望している方であれば、妊娠以前に生理が再開するまでに時間がかかったり、そもそも妊娠に至るもっと前段階の「体の調子を整える」といったことから始めていく必要があります。

改めて、生理は女性の体に必要だからこそ、備わっている大切な機能の一部です。

「症状があるなら止めれば良い。」と考える前に
一旦立ち止まり、自分の体を見つめ直す事が本当の意味での改善方法、治療となります。

生理痛やPMSがないのは当たり前

生理にまつわる不調がある女性は全体の約80%と言われています。

そのような事から、生理に関するイメージは未だにネガティブに捉えられている事が多いように感じます。

しかし実際は体が整い生理が整うと、生理痛はもちろん、胸の張りや浮腫み、生理前後のイライラや落ち込みなどの心の不調もほとんどありません。

いつの間にか周期通りにぴったり生理がきて、さっと終わります。
生理にまつわるストレスはほとんどないに等しいです。

むしろ整っていることが普通になると、たまに生理に関する不調があった際に自身の生活を振り返るきっかけになります。

生理の状態は生活の総合評価

ここまで生理には、①1から足して補う準備期間②動かして使う排卵期③整理する生理期間の3つのサイクルがあることを説明しましたが、特に1から2の過ごし方が3の生理期間に総合評価として現れます。

そんなことからも、生理の状態は1か月前の自分の生活を映し出す鏡です。

3つのサイクルを焦らずに、コツコツと続けることで少しずつ体が整う感覚がつかめてくるかと思います。

また、意外とご自分の生理周期がわからない方も多いのですが、ご自身の現在の生理周期を覚えておくことで、乱れがあった際に自分の体の変化をいち早く気付くことにも繋がるので、ぜひご自身の生理周期は把握していただきたいと思います。

最後に

女性の体は1か月をかけて足す、使う、整理を繰り返すことで、体の中をいつも整理整頓してくれています。

使って足す。増えるから減らす。
出すから食べて、吐いて吸う。

生きてゆくことには出入りが必須で、どちらか一方のみでなく、上手にバランスを保ちながら様々な整理の上で生かされているのだなぁ。と、文章に書き綴ることで振り返る事ができました。

また、そんな当たり前のことを一生をかけて行っている体は本当に偉大ですね。

女性にだけ起こる生理。
生理を通し、いつも私達の体は新しく生まれ変わっています。

1人でも多くの方が生理を味方につけ、自分の体を知るツールとして前向きに捉えて欲しいと願っています。

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