体が教えてくれる過去の歴史

こんにちは。

ここ最近は家族や近所の方、患者さんとの会話の中で毎日のように「暑い。」という言葉を交わしているこの頃です。

昔は正直天気のことなど気にした事がなかったのですが職業柄なのか、はたまた年齢なのか、、、人はこうやって変化してゆくものなのだなぁ。としみじみ考えさせられています。

しかし暑いとは言ってもクーラーや冷たい飲食などによって体が冷えている方も多いです。

「夏風邪は長引く。」という言葉があるように、夏に引いた風邪は秋になっても尚長引く傾向があります。

例え夏であっても、冷えには充分気をつけてお過ごし下さいね。

さて、いつもながら前置きが長くなってしまいましたが、患者さんの中には施術を受けていると次から次へと不調が現れてくるといったことが少なくありません。

それは実は過去に完治せずに埋もれていた体の不調が、体が整う過程で再び現れるといった事が関係しています。

私はそれを「過去の歴史」なんて言ったりしています。

一体どういう事??と疑問をもたれる方もいらっしゃると思いますので、本日はそのような体の現象について深掘りしてゆきたいと思います。

体は地層のようなもの

患者さんの中で、例えば当初は首や肩凝りのお悩みで来院された方であっても、それらの症状が緩和してゆくと、次にめまいが気になり、更にその症状が緩和してゆくと、婦人科系の不調が現れてくるなど、次から次へと治す所が出てきた。と言ったパターンがあります。

「どうして次から次に色々な不調が現れるのか。」と心配になる方もいらっしゃるのですが、それらは決して珍しい事ではありません。

通常体の不調は、私達が分かりやすく痛みや不快感などを受け取ることができるように、私達の体の表層に現れます。

しかし、実際にはその内部には小さなものから大きなものまで、過去の生活習慣によって招いた不調や怪我などが地層のように積み重なっており、その表層の部分に現在の痛みや不快感などの不調が現れています。

そのようにして、表層に現れていた首肩凝りの層が施術により剥がれてなくなると、次はめまいという過去の層が押し上げられ、更にめまいの層がなくなると、次は婦人科系の過去の層が押し上げられるといったように、表層が剥がれる毎に過去の不調と出会うタイミングがある訳です。

しかしここで私が面白いな~。と感じるのは、現れる全ての症状は一貫してその方自身が過去に一時的にでも悩まされていた症状だということです。

もちろんその方がそれらの症状と過去にどれくらいの期間格闘していたかによって、層が完全に剥がれ落ちるまでにかかる時間も様々ではありますが、その出来事をきっかけに、過去の忘れていた不調を再び思い出し、再び目を向けるきっかけとなります。

そして、それが次から次へと治す所が出てきた。と言った理由です。

今の不調は体の浅い歴史

前述したようなことを念頭に話を進めてゆくと、現在現れている不調はご自身の体の不調の中で、最も浅い歴史の症状である可能性が高く、既に来院されている方で当初の不調がなくなったと言う方であれば、現在現れている不調は「今やっと治す準備が整った。」とも言えます。

ではどうして、このようなタイムラグがあるのでしょうか。

話が変わりますが、私達が新たな環境に飛び込む際、初めはその環境に慣れるまでストレスを感じやすいですが、しばらく時間が経つと、その環境が良い・悪いに関わらず、次第にその環境に慣れてゆく事で当初よりさほどストレスを感じずに過ごすことができる適応力が私達には備わっています。

実は不調が起こった時、体にもこれと同じようなことが起こります。

体は長らく不調を抱えた状態が続き、慢性化してしまうと良くも悪くもその不調ありきで体全体のバランスを保とうとします。

そして、自分自身の体を守る為に痛みや不快感を出来るだけ感じにくくするといった感覚麻痺のような作用を起こし、不調な体にも適用しようとします。

特に一時的に不快な症状に蓋をするお薬や怪我の痛みを緩和させるサポーターなどの対処療法においては、この感覚麻痺の状態が強く現れる傾向にあります。

いつもお伝えしているように、本来痛みや不快感などの不調は体からのSOSのサインです。

しかし、あまりにも不調な状態が慢性化し、痛みや不快感を感じにくい体になると、実際には完治には至っていなくとも私達は「治った。」と認識します。

しかし、地層の奥底に埋もれ、眠った状態の過去の不調が、施術や生活習慣などの新しい刺激により体のバランスが変化し揺さぶられることで、本来の痛みや不快感などの感覚が再び取り戻されるといった事が起きます。

それがタイムラグが起こる理由です。


“古傷は忘れた頃に痛み出す。”なんて昔の人の言葉もありますが、もしかすると昔の人は古傷がもたらす体の意味を既に知っていたのかもしれませんね。

健康度が上がると体に起きること

体は痛みや不快感などの不調を決して嫌がらせで行っている訳ではなく、私達の命を守るために行っています。

そういった意味で言うと、「なんとなく辛いけど、あっちにもこっちにも不調があって、何から手をつけて良いのか分からない。」と言ったぼんやりとした症状よりも、「ここに不快感や不調がある。」と言ったはっきりとした症状を体が教えてくれた方が私達もその症状に目を向けることができ、改善に向け取り組みやすい筈です。

そのような事からも、健康度が上がると体に起こることは、ピンポイントで痛みや不快感が増長したり、ピンポイントでの痛みや不快感が分かるようになるといった事が起きやすいです。

今までの「なんとなく。」と言った状態から、「正にここ。」といった体の変化が起きると、不安や心配が勝ると思いますが、むしろ「ここまで健康度が上がってきたのだな。」と捉えて頂きたいのと同時に、「過去に体の奥底に封印していた不調とやっと向き合うタイミングがやってきたのだな。」とポジティブに受け取って頂きたく思います。

過去の歴史と出会うタイミング

過去の歴史と出会うタイミングは施術に伴い食事・睡眠・運動などの生活習慣を変えたタイミングに付随して起こる場合が多いです。

当院に来院されている方には上記の3つをベースにその方が今取り組むと良いことをお伝えしていますが、何かしら体に良い生活習慣を取り入れてゆくタイミングで、過去の歴史と出会うタイミングがやってきます。

また、前回【不調は悪いこと?不調は自分自身を見直すきっかけ作り。】という記事を書きましたが、私自身先日は何年振りに強烈な歯茎の痛みに襲われ、完治したその後はすぐに右足のアキレス腱の痛みが現れ、現在7割ほど回復している最中になります。

そのアキレス腱の痛みというのも、過去に空手をやっていた頃の怪我によるもので、なんと今から20年以上も前のものです。

あの頃は様々な方法を試したものの改善はせず、最終的に空手をやめた事によって痛みが治まったので、私の中では完全に忘れていた痛みが今更ながら蘇ってきました。

それも歯茎の痛みをきっかけに、今まで以上に体と向き合う時間を作ったからこそ長年密かに埋もれていた治りきっていなかった過去の不調が、このタイミングで表層に現れてきたのだなと解釈しています。


前回、あのような記事を書いたことで心配してくださった患者さんもいたのですが、むしろ改善までの道のりを楽しんでいますので安心してくださいね。

今向き合うか、後にするかは自分次第

私が患者さんと日々施術を行う中でつくづく感じることは、体の調子を改善してゆくには患者さんと術者の両方が同じ方向をみて進む事が大切だと感じています。

本音を言うと、施術家の立場からするとせっかくであれば地層の奥底の部分も良くしたい。



なんて思うのですが、今向き合うか、後にするのかは患者さん次第です。

人それぞれ考え方やタイミングがありますから、現時点でどこまで良くしたいのかや、どのような体の状態であれば満足なのかを患者さんと術者で擦り合わせながら取り組むことが結果として理想の状態に辿り着く1番の近道になります。

人によっては仕事量を一時的に減らしたり、休職してでも自分自身の体と向き合う時間を増やして体を改善してゆきたいという方もいらっしゃいますし、現状の生活は大幅には変えずに、根治には至らなくとも不調や痛みの度合いが今より少しでも良くなれば良い。という方もいらっしゃいます。


何にしても目指していきたい目標をお互いに一致してゆくと、今最優先することが明確になりますし、患者さん自身も取り組むことへの熱量を燃やすきっかけにもなると思いますので、ぜひ遠慮なくお伝え頂ければと思います。

一時的に体のバランスが崩れるとき

体が整う過程で全ての症状に共通して起こることが、一時的に体のバランスが崩れるといった現象です。

前述したように、長らく不調を抱えた状態が慢性化すると、体はその不調ありきで体のバランスを保つようになります。

しかし施術や生活習慣の変化などで、今までとは異なる刺激が入り、体に揺さぶりがかかることで、一時的に体のバランスが崩れ不安定になると言った事が起こります。

そんな時も焦らずに、体の状態を冷静に見て、今出来ることを淡々と続けられると体は自然と安定してゆきます。

体が教えてくれること。

東洋医学では、年代ごとに心と体を健やかに保つ為の過ごし方が決まっています。


詳しくはまた別の機会にお伝え出来ればと思うのですが、大まかに10代や20代はどんどん食べ、どんどん外からの刺激を受け、自分自身の外側に様々な物や事を積み重ねてゆく事が大切な陽の時代になります。

一方で30代からは、陰の時代に入ります。

10代や20代の時に積み重ねてきたものからいらないものを削ぎ落とし、少しずつシンプルにしてゆく事が大切な年代に入ると言われています。

これは人によって先天、後天的な体力の差はありますが、どんなに体力がある方でも30代に入ると自然と体力は減るに従い、いる・いらないものを選別し余計なものを削ぎ取ることで、例え体力は減ったとしても身軽な体で体力をカバーしてゆきましょうね。といった先人達の知恵だと私は解釈しています。

いつの日か30代〜70代と年代もバラバラ女性達で集まり和気藹々と会話していた時の事。

私の中の東洋医学の根底にある考え方が相まって「30代からはみんな一緒ですね〜。」なんて言ったら、「全然違うよー!!!」と辛辣な眼差しで1番年配の方から突っこみを頂いた事があるのですが、少なくとも私は30代からはみんな一緒。と思っています。

(女性は、何歳になっても共通の話題で盛り上がる事ができますしね☺️)

最後に

奥底に溜め込んでいた体の不調を片付ける作業と年齢を重ねる毎にシンプルにしてゆくこと。

改めて体をより良くしてゆく事と人生をより良くしてゆく事は似ているなぁ。なんてこの記事を書きながら思わされています。

まだまだ自分が見つけてられていないだけで、このような共通点が沢山あるような気がしています。


ついついアクセル全開になりがちな夏。
程良く動く休むのメリハリをつけて、短い夏を楽しまれてくださいね。

この記事が、少しでも皆様の役に立てますと幸いです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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