東洋医学の冬の過ごし方(養生法)

こんにちは。早くも12月半ば。そして来週はクリスマスです🎄


毎年同じ事を言っているような気がしますが、本当に1年経つのは早いですね。
今年は立冬に入ってもしばらく暖かい日が続いたかと思えば突然寒さが襲来しました。
そのお陰により体がついていかず、体調を崩しやすい方が特に多かったように感じています。

今後は12月21日に冬至(一年の中で最も昼の時間が短い日)を迎え、24節気では2月3日には早くも立春(冬が終わり春の訪れ)になると考えると、冬の終わりはすぐそこですね。

とは言いましても、来週のクリスマス、忘年会、年末の大掃除、大晦日、お正月、新年会等とやる事が盛り沢山。多忙な日々が続くと思います。

しかし、実は東洋医学では【冬は心と体を落ち着け、穏やかに過ごす事】養生法とされています。
この冬をどのように過ごしたかにより次の春の心や体の状態にも繋がってゆきますので、是非意識して日常生活に取り入れて頂けたらと思います。

東洋医学で見る冬とは?

東洋医学では、冬は「蓄える」季節になります。

植物は、秋に無駄なエネルギーを削ぎ取るよう葉から栄養を吸収した後、落葉し吸収した栄養を木の幹に蓄えます。


動物は、秋に栄養のあるものを多く食べ、寒い冬を乗り越える為に自分自身の体に蓄えてゆきます。

そして、人間も「実りの秋」「食欲の秋」を経て、必要な栄養を体に蓄え冬を過ごします。

このように、植物、動物、人間は水面化にて冬を過ごすステップを秋から着実に踏んでいるのですね。

では、どうして冬は「蓄える季節」になるのでしょうか?

それは、自然界の植物や動物、人間も全て「冬眠モード」に切り替わるからです。

冬に冬眠モードに入る理由

東洋医学には、「閉蔵」という言葉があるように、冬は蔵を閉じてこもる季節になります。


動物が冬の間、余計なエネルギーを消耗しない為に冬眠するように、人間こそ冬眠は出来ませんが、動物と同様余計なエネルギーを消耗しないよう余計な事はせず、行動を起こさず、寒い冬を乗り越えてゆくことが大切な季節です。

夏は元気で、冬はテンションが下がりがちになるのも、行動を起こさないようにする為に体が【冬眠モード】へと切り替わった現象です。


自分自身の体を守る為の、自然な体の働きなのです。

冬と腎臓の関係

東洋医学には春、夏、長夏、秋、冬それぞれが担当する内臓(五臓)というのが決まっています。


そして、冬は腎臓が担当する季節になります。


腎臓の働きは成長、老化、生命力等と関係する臓器です。


一言で言うと、体の「体力の貯金」が蓄えられる場所になります。


例えば、同じ年齢の方でも元気な方と元気がない方、病気にかかっても治りやすい方と治りづらい方、若々しく見える方々の違い等があります。


これらは、全て腎臓に関係し「体力の貯金」がどれくらい溜められているかに関係しています。

正に、心や体の不調、あらゆる面においての「健康の土台」と言っても過言ではないくらい私達にとって重要な臓器が腎臓なのです。

そんな健康の土台として欠かせない腎臓ですが、普段から疲れやすく体力がない方、不調が治りづらい方、慢性病を抱えられている方にとっては、この腎臓を担当する冬の過ごし方が特に重要となります。

来年の春こそ元気な1年のスタートを切りたい。そう思われる方は是非、東洋医学での冬の過ごし方を日常に取り入れてみて下さいね。

寒い冬の過ごし方

冬の養生法1,【心を落ち着けて穏やかに過ごすこと。】

冬眠モードにスイッチが切り替わる冬は、自分自身の“心”にも気を配り、なるべく穏やかな気持ちで過ごされることが良いとされています。


逆に心が疲弊したり、動揺するような事があると体調面に大きく影響する事になります。

春夏のような外の刺激に楽しみを見つけられる事から読書や映画鑑賞、音楽鑑賞など、お家の中で過ごす上での楽しみを見つけられると良いです。
また、冬は蓄えるがキーワードの季節ですので、勉強などで新たな知識を蓄えることにも適しています。
この季節を機に、自分自身の心が穏やかでいられる方法は何なのか、新たな趣味などを見つける機会を作られるのも良いですね。

冬の養生法2,【体を落ち着けて静かに過ごすこと。】

体も心と同様、冬眠モードに従って必要以上に動き回る事なく、静かに過ごす事が大切とされています。


エネルギーを外へ発散させるのではなく、エネルギーを内に溜めてゆくイメージです。
激しい運動なども体のエネルギーを消耗させてしまう原因となってしまうので、じんわりと汗をかくような運動を短時間で行われると良いです。


その際は、汗はこまめに拭き取るようにされて下さい。

冬の養生法3,【土の中で育つ秋冬野菜を頂くこと。】

これは普段から患者さんにもお伝えしていることですが、野菜にはざっくりと体を冷やす野菜と体を温める野菜の2つに分けることが出来ます。
体を冷やす野菜は、土の外で育つ春夏野菜。体を温める野菜は、土の中で育つ秋冬野菜です。


秋冬野菜にはネギ、大根、人参、ごぼう、白菜等があります。


旬の野菜を見分ける1番簡単な方法は、スーパーへ行った際に価格が他の野菜に比べて安いものになります。


旬の野菜は、その野菜に適した季節にぐんぐんと育つので、大量に収穫され、味も本来の野菜の美味しさが引き出され、農薬も少ない傾向にあります。


冬の季節は体を温める野菜を沢山頂き、体の中からインナーケアをしてゆくことで、寒さに負けない強い体を作り上げることが出来ます。

冬の養生法4,【黒いものを頂くこと。】

東洋医学では、「黒い食べ物」は、寒い冬に負担がかかりやすい腎臓を強化させ、健康の土台を引き上げると言われています。


黒い食べ物にはキクラゲ、黒胡麻、牡蠣、うなぎ、黒豆、わかめ、海苔やひじき等の海藻類があります。
冬に腎臓に積極的に溜められる体力の貯金を増やし、生命力を高めます。


体の冷え予防にもなりますので、この冬に沢山食べてゆきたい食材です。


私の個人的なおすすめは、冬に活躍する鍋の食材にワカメやふのり、キクラゲなどを加えてあげるのが簡単でおすすめな方法です◎

冬の養生法5,【温かいものを頂くこと。】

冬に温かいものを頂くのは当たり前では?と思われる方も多いと思うのですが、意外と5つの養生法の中でも、現代は特にハードルが高い項目の1つだと感じています。


冬を担当する腎臓には、寒さに弱いと言う特徴があります。


春、夏、秋以上に冬はこの飲食からの冷えに気を付けることは、”健康の土台”や”体力の貯金”に関わる腎臓の働きを高めることに繋がります。


また、冬の体を温めることは、冬以外の季節に起こる冷え対策にも有効です。


日頃から慢性的に冷えを感じている方は、冬の冷え対策をどのくらい行えたかにより、他の季節に起こる冷えを軽減することが出来ますので、食べ物や飲み物、口から取り入れるものの“温度”に気を付けられると良いです。

上記以外で+αで出来ると良いこと。

【野菜の中でも特に大根、ネギ、もやしを積極的に頂く】

・ネギ

ネギには鼻、口、喉、気管、肺、皮膚(東洋医学では皮膚も関係します)などの呼吸器を強くする働きがあります。


毎年冬になると風邪をひきやすい方、皮膚が痒くなる方、喉の痛みや腫れが起きやすい方、鼻水が出る、鼻が詰まる方などは、元々呼吸器系が弱い傾向にあります。


思い当たる節のある方は12月末辺りまで、1日1本を目安に食べてゆくと、症状が軽減するのと、呼吸器を強化することが出来ます。


更に、毎年春になるとアレルギー症状が強く出る方も、冬の間にネギを沢山食べられることで春の症状が軽減しますので、当てはまる方は特にネギを積極的に食べられると良いです。

・大根

大根は、東洋医学では冷えに良い食材になります。


冬の間に毎日5cm程の大きさの大根をコツコツ食べられると、不思議なことに体の芯が温まり、例年よりも冷えが感じにくいことを体感されると思います。


患者さんの中には、カイロよりも温かくなるという嬉しいお声も頂きます。


大根は1月末辺りまで一生懸命食べられると、冬以外の季節はもちろん、来年の冬を迎えた際の“冷えの感覚”の違いに気付かれると思います。

冬の大根は辛味が少ない傾向にありますが、生で食べる場合は辛味が強いと胃腸の働きが悪くなりますので、生で食べる場合は一度確認してから食べられてみてください。

・もやし

もやしは、東洋医学では浮腫み予防の食材になります。


冬は「溜める」と言う体の働きにより、他の季節よりも浮腫みやすい傾向にあります。


もやしには体の中の水分を調節し、停滞した水分の流れを促してくれる働きがあります。
便秘解消にも効果を発揮する食材ですので、浮腫みを感じる方や便秘で悩まれている方は毎日1パックを目安に食べられると良いですよ◎


また、もやしは東洋医学では豆類に属される食材で、豆は腎臓に良い食材とされています。


しかし豆は栄養価が高い反面、長時間煮て、何度も灰汁を取り出さないと口に出来ないぐらい、毒性が強いものでもあります。


普段胃腸の働きが良い方は、黒豆や豆腐、豆乳などを口にしても問題ないのですが、胃腸の働きが優れない方は胃腸の働きが悪くなる傾向があります。


しかし、その点もやしは調理にも時間がかからず、いつでもどこでも手軽に手に入る、日常に取り入れやすい豆類の1つですので、豆の中でも特におすすめしたい食材の1つです。

ネギ、大根は「薬味」食材

ネギや大根は薬味として昔から使われているように、その名の通り薬効が高いものになります。


薬味と呼ばれているものは私達の体にとっての自然の薬になります。私は自然の薬と呼んでいます。


そんな自然の薬から体調を整えることは、体に対する自然治癒力を高め、不調や病気に対する抵抗力を高めてくれる大切な食材です。

【早寝遅起きをすること。】

冬は少し早く寝て、朝はゆっくりと起きることが良いとされています。


冬は太陽の時間が出るのが短いように、私達もそんな自然のリズムに合わせ「早寝遅起き」が基本となります。


遅起きが難しいと言う方は、いつもより早く布団に入り、睡眠時間を長く取られる事によって、冬に大切な「エネルギーを体に溜める」ことが出来ます。


実際、冬に眠気を強く感じる方がいるのは、無意識に睡眠時間を確保し、体を休めようとする冬の自然の現象なのです。

【甘いものを摂りすぎないこと。】

冬は楽しいイベントが盛り沢山。


クリスマスで食べるケーキやおせち料理、お酒等(お酒は発酵なので、東洋医学では甘味に含まれます。)
全体的に甘味の食べ物を口にする機会が多いと思います。


実はこの甘味過多な食生活により正月明けは、1年の中でもTOP3に入る程、体調不良の方が続出する期間です。


何故なら、東洋医学では甘味を摂りすぎると健康の土台“腎臓”を傷付ける。と言われているからです。


現代的に1番好まれ、口にされることが多い甘味には、量によっては腎臓に蓄えられている体力の貯金を破壊してしまう程の威力があります。


甘味過多、甘味過剰な食生活は、普段から少しずつ溜めた体力の貯金を切り崩してしまう事にもなりますので、偏り過ぎず、しかし我慢しない程度に、程良く頂きながらイベントを楽しまれて下さい。

最後に

現代は、冬が1番忙しい。と言っても過言ではありません。

しかし、人間のこれまで生きてきた長い歴史の中でみていくと、現代のような“とにかく忙しい”冬の生活スタイルは、歴史の中のほんの一瞬の出来事です。


逆に言うと、意識的に「冬眠モード」に入ろう。と心に決めなければ、現代の方々にとって中々休む事が難しい季節でもあると思います。

しかし、本来は春夏秋冬それぞれの季節に最適な過ごし方があり、そのような自然と調和しながら生きてゆくことが本当の意味での心と体の健やかさを取り戻すことに繋がります。

冬に鬱っぽくなる。やる気が出ない。
いつもの調子が出ない。と明らかに感じるのは、
冬をのんびりと穏やかに過ごす為の体からのサインです。

ある意味、体が正常に働いている証でもあります。

何らおかしいことではありませんので、自分自身を責め過ぎず、暗い感情に引っ張られ過ぎず、「冬ですから。」と開き直りつつ、いつもよりゆっくり出来るチャンスだと捉え、大いに心と体を休めて頂きたいのです。

そうする事で、もしかすると寒い冬が少しだけ好きになるかもしれません☺️

この記事が、少しでも皆様の役に立てますと幸いです。

メリークリスマス🎅🎄

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