東洋医学で見る、月経前~月経中のイライラの原因と治まらない食欲の鎮め方

女性の身体は月経の大体1,2週間前から心身の不調(気分の落ち込みやイライラ、食欲増加)が現れ、月経が近付くにつれピークに。

更に月経が始まり終了するまでは約1週間。つまり、
女性にとって心身の不調を感じづらい期間はというと1ヶ月に約1週間〜2週間程度。


人生の半分以上も付き合っていかなくてはいけないものだからこそ、なるべく心身の不調を感じる事なく穏やかに過ごしたいのが女性にとっての願いですね。

しかし、願いとは裏腹に毎月感情や体調に振り回され落ち込み、塞ぎ込んでしまう方も少なくありません。

また、東洋医学的にも女性は陰陽で言う陰の性質を持っているからこそ感情や不調を溜め込めやすいと言われています。


昔のことわざに、乙女心と秋の空。と言う言葉があります。

秋の空模様は変わりやすく、女性の感情の起伏を秋の空模様に例えたことわざらしいです。

そんなことからも、女性として産まれたからには感情の起伏というものは避けられない課題なのかもしれない。

とは言うものの、かつては私自身も毎月月経前や月経中はイライラが止まらず、そのイライラを食べ物で発散すると言う負のループを繰り返していた人の1人でした。


今回は、そんな月経前後に起こりがちな感情の起伏を緩やかにする方法とそれらに伴う体調の整え方を漢方医学をベースにお話ししたいと思います。

漢方でみる月経と密接に関係する臓器とその働き。

女性の月経に深く関係する臓器は血に関係している“肝臓”。

そして、そんな肝臓の働きはと言うと、「全身の血液の量の調整と解毒。」

代表的な2つをここでは紹介します。

1,身体が活動する時には必要な量の血液を全身にいき渡らせ、眠る時は肝臓に血液を戻すという血液の量の調整。

2,身体に負担がかかる添加物、薬、アルコール等を絶え間なく解毒し、私達の身体に害がないものに変換するという働き。


そして東洋医学では臓器と感情面は密接に関わっており、肝臓は”怒”の感情と関係しています。

1,肝臓の働き「全身の血液の調整」がスムーズにいかないと、怒りの感情が出やすかったり、逆に物事にびくびくすると言う側面が出てきてしまいます。

更に、中国医学最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」という本の中に、「肝は将軍の官、謀慮(ぼうりょ)出ず」という言葉が記載されていることから、肝臓は軍隊で例えると「将軍。」

将軍は君主の命令を聞き、その指示通りに軍隊を統率する国の第二のリーダーです。

私達の体で言うと、何か意思決定した際に”行動を実行“する役割が肝臓の働きになります。

これらの事から、肝臓が正常に機能している時は物事をスムーズに推し進めることが出来ます。

その一方で、肝臓の働きが悪くなると“誰にも止めることができない、 暴れん坊将軍”になってしまうことを表しています。

ではこれらを踏まえ、肝臓の働きを悪くし感情面に強く影響を与えてしまう原因はなんなのでしょうか。

結論から言ってしまうと、肝臓に負担をかけてしまう食べ物。(身体にとっては不自然な過度な甘味や化学調味料、薬、アルコールなど)

特に月経時に重要な肝臓の準備期間に、それらを食べ続けてしまうと、前述した肝臓の働きである解毒作用、量の調節がスムーズにいかなくなり、結果として怒りなどの感情を制御できなくなってしまいます。

そして、その怒りの感情は特に女性に多い、
「何を見ても何をしても腹が立つ」
「イライラが収まらない」と言う現象を引き起こしてしまうんです。

更に、そのイライラの捌け口を無意識に発散しようと “過食”に走ってしまう人も少なくありません。

私達女性が月経前後を感情に振り回されず穏やかに過ごせるかどうかは、いかに肝臓に負担をかけずに過ごすかが重要になってきます。

月経前〜月経中にかけてのイライラの原因と爆食の原因は、 栄養不足。

月経は、私達の想像以上に体力が奪われる状況です。

確かによく考えてみると、毎月月経で当たり前に失われる血というのは、私達の身体を構成する必要不可欠なもの。

一言で言ってしまえば、栄養になります。

しかし、その栄養が何日にもかけて身体から失い続けてしまうという状況は、身体にとっては危機的状況です?

また、身体に十分な”栄養”という血液の貯金がないと、栄養不足となり、情緒不安を引き起こす原因となってしまいます?

(よく、お腹が空き過ぎた時に、めまいや、手の震え、イライラなどが起きた経験がある方もいらっしゃると思いますが、それは身体に血と言う栄養が少なくなった為に起きる肝臓の症状です) 

また、月経前後のだるさや眠気なども、なるべく体力を消耗したくない(体を動かして血をこれ以上失いたくない)休みながら温存していたいという、自然的な現象でもあるんですね。

だからこそ、月経前の準備期間から月経中は私達が思う以上に、“身体にとっての必要な栄養”を沢山とらなくてはいけない期間になります?

【例えば、現代ではよくみる下記の献立。 】

例1

朝 おにぎり

昼 パスタ

デザート ケーキ、ジュース

夜 丼ぶりもの

例2

朝 コーンフレークやオートミール

昼 うどん

夜 インスタントラーメン

デザート アイス

例3

朝 プロテイン

昼 ラーメン

夜 お酒とおつまみ、お菓子

一見これらのメニューは、きちんと食べているようで、ほとんどの食事が炭水化物(糖質)に偏り身体の観点からみると “栄養不足”です。

また、特に月経前〜月経中に甘いものや炭水化物(チョコ、ケーキ、甘いお菓子)を爆食したくなるいう女性の方も多いが、それは身体がてっとり早くエネルギーを補給できる食べ物を欲しているから。

しかし、炭水化物(糖質)というのは身体のエネルギーにはなるが、身体に対する栄養が十分であるかどうかという点に至っては、“栄養不足”になってしまいます?

そこで解決方法としては、食事から充分な栄養を月経が始まる前から事前にとること。

それが、精神的なイライラや爆発的な暴飲暴食を防ぐ方法となります。

タンパク質をしっかり食べよう

タンパク質は、血液を作るのに必要な栄養(鉄)がたっぷりと入っています。

東洋医学では、春夏秋冬、それぞれの季節に合う身体を養生してくれる食べ物というのが決まっており、特に豚肉は体力の貯金を増やしてくれ、どんな季節に食べても身体を養生してくれるスーパーフード。

特に豚肉の赤身を沢山食べると良いと言われています。

具体的には、月経前〜月経中は赤身のお肉を200gを目標とし私の場合は日常で200g。
月経前〜200g以上を目指し食べるようにしています。

また、日頃からすぐに間食をしたくなる方は、タンパク質不足の方も多いです。

必要なお肉の量を食べることで、満腹感を得て、自然と間食を防げる場合が多いので、間食をすることが癖のようになっている方は、是非お肉を沢山食べることをおすすめします。

【注意点】
手軽に摂取出来るプロテイン、プロテインバーより、あくまでも自然のものから取れるタンパク質を取るようにするのが◎
これらには添加物などが含まれているの、で肝臓に負担をかけると言う点でもおすすめしません。

タンパク質の量を増やす目安

人それぞれ個人差もありますが、患者さんの話や自分自身の経験を総合すると、明らかな心身の変化が 現れやすいのは、月経1週間前。

その辺りくらいから、徐々にタンパク質量を増やし、月経に備えるのがベストです。

特に月経中は体力がピークに消耗していく期間なので、この期間はカロリーなどは気にせず、赤身のお肉を200gを目標にしっかり食べましょう。

また、お肉などを食べた上で間食や過食をしたくなった時は、お菓子やケーキ、 チョコなどの糖質は控え、野菜を沢山食べるようにしよう。

野菜は、身体の薬になるもの

お菓子類は肝臓に害を与えるものですが、野菜はどれだけ食べても害にはなりません。

キャベツ1玉を炒めて食べる

しゃぶしゃぶのように、好きなお野菜を茹でてたっぷり食べる。

人はお腹がいっぱいになると安心感を得るので、好きなだけお菓子を食べる癖から、お野菜を沢山食べる癖に少しずつで良いので切り替えていきましょう。

慢性的な栄養不足かどうかが分かるチェック方法

東洋医学的にみると爪は肝臓が深く関係している場所です。

爪が脆くすぐに折れてしまう方、割れてしまう方、二枚爪になりやすい方、柔らかい方などは、
タンパク質を中心とした栄養(血)が足りていないサインになるのでそれらを指標にすると◎

また、身体の栄養状態が良くなると爪も丈夫になります。

【余談】月経中に泣く事で情緒を安定させる方法。

漢方では木火土金水(もっかどこんすい)五行学説というものがあり、簡単に言うと、木火土金水5つのバランスにより自然の万物は保たれているという古代中国の自然哲学の思想。

図でいうと、こんな五角形の図です。

画像
画像はWikipediaから引用しています。

そしてこの5種類は、「相生・そうじょう」と「相剋・そうこく」という、それぞれの要素同士がお互いに影響を与え合う関係。

相手の要素を補い、強める影響を与えるものを「相生」

相手の要素を抑え、弱める影響を与えるものを「相剋」といいます。

そして、そんな木火土金水には、 それぞれにあたいする 臓器や感情が決まっています。

木→ 肝臓 怒り

火→ 心臓 喜び

土 →脾臓 思い

金 →肺臓 悲しみ

水→ 腎臓 恐れ

月経前後のイライラというのは木であり、肝臓が司る怒りの感情です。

泣くというのは金、肺臓で悲しみ。

この木と金は 相克関係といいまして、相手の要素を抑え、弱める関係になります。

そして、金の泣くという行為には、木の怒りという行為を沈める作用があります。

例えば、怒りが沸点に達した時に泣いてしまう。という経験をされた方もいらっしゃると思いますが、それは、泣くことにより怒りを沈めようとする身体の防衛反応の1つです。(金剋木の状態)

泣いた瞬間、スッと怒りが消え、気持ちが落ち着くことができます。

月経中は、普段の日常と比べ肝臓が興奮しイライラしやすいので、そんな時に感動するドラマや映画などをあえて観て泣く事で、感情を穏やかにするという方法もありますので、良かったら行なってみてください。

まとめ

・月経に関係する臓器は肝臓

・肝臓の働きは、血液の量の調整と解毒

・月経前〜大量の血液(栄養)を失う前の準備段階として身体が栄養を欲する。

・月経中〜大量の血液(栄養)を失うので、必要な栄養をとらないと、身体が栄養不足になる。

・月経の1週間前から、お肉を沢山食べるように心掛け、月経中は特に沢山食べる。(200グラムは食べるようにする。)糖質は控える。

・慢性的な栄養不足であるかは、爪の状態から分かる。

・裏技で、月経前後のイライラを鎮める方法として泣くのも効果的。

最後に

月経中はどうしても身体が疲れやすくなったり、憂鬱になったり、感情の起伏が現れてしまうもの。

それは何日間も続く出血により、私達が想像する以上に身体に負担がかかる事なので、ある意味当たり前の事。

そんな月経中に、

・感情がコントロール出来ない
・自暴自棄になってしまう

などという状態から、

“月経でいつもと違う”という前提ではあるけれど、

何かをやっていたら(仕事や趣味、家事などのあらゆること)

“いつの間にか月経にまつわる嫌だなと思う事は忘れていた”といった、日常生活に支障がない程度にまでなれたら、女性にとって切っては切り離されない月経との付き合い方が「より楽」なものに変化すると感じます。

決して様々な感情があることが問題ではなく、その感情に呑まれ混み過ぎてしまうことが私達の体や心に害を及す事になってしまいます。

感情に呑まれ込み過ぎず、感情を上手く味方につけながら日々を過ごせると、より人生が彩りあるものに変化するような気がしています。

少しずつ、一緒に頑張っていきましょう。

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