キムチ、漬物、納豆、チーズ等、世間一般的に発酵食品は体に良いものとされ、腸内環境、免疫力アップ、アンチエイジング効果が期待出来ると言われています。
ネットで調べてみると、やっぱり発酵食品は体に良いと記載されています。
発酵食品は、今のように冷蔵庫などがない時代に食材を腐らずに保存する方法から生まれたもの。
言わば、昔の人々の生活から生み出された知恵。
既に縄文時代から私達の生活には発酵習慣と言うものが生活の一部となっていたようです。
そして、そんな発酵食品は現代でも人々の間で変わらず浸透しています。
そして、その味というのは私達日本人が好きな味としてDNAに組み込まれているような気がしています。
実際、患者さんの中でも発酵食品は普段の食事に欠かせないと言う方も多く、冷蔵庫の中にも当たり前にストックされ、多くの方に愛されている食品いだと思います。
しかし、昔の健康法を現代に当てはめようとすると、生活様式、労働環境、食べ物、全てが様変わりした現代では体にとって負担になる場合があります。
いつも健康と言う視点で考えなければいけないことは、「昔は良かった。」しかし、現代ではどうであるかです。
もっと言うなら、その時代の健康法というのは、その時代の生活様式と言うベースがある上で人々に最適な方法として生み出され、浸透されてきたもの。
であるならば、現代であれば現代と言う生活様式のベースがある上で最適な健康法を見つけ、浸透されなくてはならないと思っています。
時代が変わるとルールが変わるように、
全てが日々刻々と変化し続け、私達人間はそんなルールに適応できるよう必死に変化に順応してきました。
それは生活様式以外のファッション、人と人との付き合い方、労働環境、学校と生徒の関係性、ありとあらゆるもの全てです。
東洋医学からみた発酵食品とは
東洋医学では、味は酸苦甘辛鹹の5つの味に分ける事が出来、それぞれの味に対応する体の臓腑が決まっています。
酸味は肝臓(胆嚢)
苦味は心臓(小腸)
甘味は脾臓(胃)
辛味は肺臓(大腸)
鹹味は腎臓(膀胱)
例えば肝臓で説明をするなら、酸味は肝臓。
酸味を取りすぎると肝臓の調子が悪くなり、肝臓の調子が悪い時は酸味をとると良い。
そんな2つの意味が隠れています。
そして、本題の発酵食品と言うのは
この五味の中での“甘味”に分類されます。
発酵食品とは熟成すればする程、甘味が増すものです。
元々私達の味覚は甘味=旨味と感じられ、甘ければ甘い程おいしいと感じるようになっています。
実際にそれらの事を示すように、現代の果物は昔より甘くなるよう品種改良され、お肉も熟成されたものが良く売れます。
極め付けにはお野菜も年々甘くなっています。
それに加えて、現代では手軽に食べられるパンやお米、パスタなどの炭水化物中心(甘味)の食生活になっていることも少なくありません。
現代は甘味でないものを探すのが難しいくらいに甘味のもので溢れ、人々も無意識にそれらを買い求め、美味しいと感じるようになっています。
甘味と脾臓(胃)の関係生
東洋医学では、甘味を取りすぎると脾臓(胃)の調子が悪くなり、脾臓の調子が悪い時は甘味をとると良い。
この2つの意味が隠れています。
少し付け加えると、甘味は脾臓と胃と関係しているので、甘味を取りすぎると脾臓と胃の消化器系に負担がかり、逆に、少しの自然な甘味は脾臓と胃の働きを高めてくれる意味をもちます。
しかし、前述したように現代は昔に比べ圧倒的に甘味に溢れた甘味過多の時代です。
と言うことは、甘味過多の食生活により、脾臓や胃の働きが悪くなる方が多い時代です。
おそらく、発酵食品が健康とされていた昔のライフスタイルは、現代のようにここまで多くの甘味の食材で溢れていなかったように思います。
何故昔の人は、発酵食品が健康とされていたのか
発酵食品を食べる事が健康になるとされていた時代は、あくまでも“肉体労働中心”と言う生活様式の中で、直ぐにエネルギーとして体に変化される発酵食品と言う甘味がこの時代の人々の支えになっていたのではないかと感じています。
一方で現代は精神労働中心の生活
肉体労働から精神労働(デスクワーク、頭を使う仕事)が中心となり、体を動かす事も少ない時代です。
むしろ、コロナをきっかけに年々外に出る機会が遠のいてしまっています。
また、大人に限らず子供達も同様に外で遊ぶと言う機会が減り、ほとんどの遊びがゲームと変化しています。
そんな活動量が極端に低いにも関わらず、エネルギーとなる甘味を大量に食べ続ける日々。
甘味が少なく、肉体労働中心の時代で生まれた発酵食品と甘味で溢れ返り、極端に活動量が少ない精神労働の時代で食べられる発酵食品。
昔の生活様式ありきで良いとされている発酵食品と、現代の生活様式に当てはめた発酵食品の意味は似ても似つかないのではないでしょうか。
そして、現代の甘味過多な食生活に加え、更に甘味を主とする発酵食品を摂ることで、かえって体の調子が悪くなる方が沢山いらっしゃいます。
甘味を摂り過ぎた時の体の不調
東洋医学では、甘味を摂りすぎると脾臓と胃の働きが悪くなると言われています。
甘味を摂り過ぎた場合に起こる不調ベスト5
1,便秘
2, 肩凝り、腰痛
3 背中の痛み
4,アトピー
5肌のくすみやたるみ
また、甘味の摂り過ぎは人間の精神面にも深く影響を与えます。
全ての食材がスーパーフード
私は、基本的に食材で食べていけないものはないと思っています。
1つ1つの食材がそれぞれにもつ栄養素があり、それぞれがかけがえのないスーパーフードです。
しかし、ただただ発酵食品が良いからと闇雲に食べてしまうのではなく、時代背景を考慮し、適切なものを適切な量で食べることをしないとかえって「不調」の引き金となってしまいます。
発酵食品以外にも、◯◯の症状には◯◯が良いなどの一時的な流行で健康法が変化する時代です。
しかし、その時々でころころ変化する健康法よりも「季節にとれたものをバランス良く食べる」と言うのが昔から受け継がれてきている食事の基本です。
そんな食事の原点となるものを、頭の片隅に入れながら改めて健康と言うものを見つめ直してゆけたら、今よりももっと快適な体を手に入れられると感じています。
まとめ
発酵食品と言うのは、現代程甘味が溢れかえっておらず、肉体労働が中心の時代に繁栄した生活の知恵。
時代に合わせ、様々な事が進化、変化するなら、私達の知識も現在の生活様式に合わせて日々グレードアップさせる必要があります。
それがいつの時代も変わらない、大切な健康の根源。
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