更年期症状と体力の関係
「イライラや身体の火照り、気分の落ち込み」などの症状、現代的な言葉を使うと
更年期症状と言います。
雨が続く日や湿気が多い日、
不安定な天気が続くと一時的にそのような症状になりやすくなる傾向がありますが、
慢性的にこのような症状で悩まされている場合、更年期と診断される方が多いです。
そして、この更年期と言われるものは
従来であれば40代後半〜50代半ばまでに現れる症状として認知されていますが、最近では年齢も幅広く20代や30代の女性による「若年性更年期」と言うものが増えているらしいです。
東洋医学からみた更年期症状
結論から言ってしまえば
身体の体力が落ちた事が原因の1つです。
更年期にまつわる症状が出現しやすい40代後半〜50代半と言うのは、東洋医学的にも「体力の貯金」が減っていく年齢に差し掛かかります。
少し話は逸れますが、一般的に東洋医学では10代20代は、体力が充実している「陽」に当てはまる年齢です。
どんなに無理をしようとも、無理が効く体であり、陽気と言う言葉そのままに「元気」でしかありません。
ただし、悲しい事に30歳を堺に人は「陰」に入り、元々体力がありエネルギー満ち足りた人間でも必ず「陰」に入り体力が衰えていきます。
そして、それは皆平等です。
更に昔の古医書医学(東洋医学に関する知識を記述されている本)によると、
40代では、「息切れと、食欲減退」
50代では、「精力と、体力の減退」
と記述されています。
40代に食欲が減退すると、単純に食べる量が減ることにより栄養が足りず、体力が低下します。
50代では精力も減退し、40代に引き続き更に体力の減退を感じます。
つまり、更年期になりやすいと言われている40代、50代の年齢に共通しているのは前述したように「体力が低下」している事です。
しかし前述したように、現代では
20,30代の若い年代の方々でもこのような更年期と呼ばれる症状で悩まされている方が後を経たちません。
実際にそのような年齢の方で鍼灸院に来院される方も多いです。
それでは何故そのような事になってしまうのでしょうか。
それは現代は年齢に関わらず「体力がない人」が増加しているから。
そしてもちろん、体力をつくる根本的なものは「食事。」
現代は昔に比べて様々な食べ物が手に入り、選択肢が増えたことにより好きなものを好きな分だけ食べることができます。
よっぽど気を付けない限りは、
炭水化物を主としたパン、白米、麺、
お菓子、加工食品などの甘味に偏ってしまいます。
そして、それと同時に食事に対する「美味しい」と感じる味覚も変化しています。
私達人間が従来自然と行ってきた
「各季節でとれた栄養いっぱいの旬の食材を頂き体を養う。」と言う健康の基礎が便利な時代が進むにつれ難しくなっています。
それらの事柄も含め、本来は体力が自然と軽減する4,50代で発症しやすい更年期症状と言うものが現代は20代30代で起こると言うことも、それだけ“食事”から得られる体力の貯金が少ない気がしてなりません。
そして、実際に10代20代の若い方であっても体力が少ない方はとても多いです。
世間一般的に言われているイライラや火照りの原因
更年期症状と言うのは体力が低下した先に起こる症状の1つですが、東洋医学的に特に関係している場所があります。
それと言うのが「皮膚。」
皮膚は外と私達の体(内)を繋ぐ役割をし、外の外敵から私達を守ってくれています。
そんな皮膚の働きは毛穴の開閉。
暑い時は汗をかいて寒い時は毛穴がきゅっと閉じ、体温調整が出来る仕組みになっています。
しかし、ある一定レベル以上の体力が落ちてしまうと、暑い時に汗をかけなかったり、汗をかいたと思ったら止まらない、暑くないのに変な時汗をかいたりと皮膚が壊れ、体温調整がスムーズにいかなくなります。
そうすると体は「上手く発散が出来ない体」になってしまいます。
更年期症状でよく言われている
イライラや火照りと言うのは皮膚の毛穴の開閉が上手くいかず、体の中に余計な熱がこもってしまう事が原因で起きることが多いです。
そして行き場のない熱は、次第にイライラを引き起こし、感情のコントロールが難しくなり体の不調が心の不調にまで発展してしまいます。
下半身が冷え、上半身が火照ると言うのも、
前述した発散出来ない熱の症状と関係しています。
また、毎年夏バテや熱中症になりやすいと言う方も更年期症状と呼ばれる熱と関係する症状に陥りやすいです。
温度調整だけではない汗の大切な作用
皮膚には、毛穴の開閉をし汗をかき発散せるという役割があります。
そして汗と言うのは、おしっこやウンチと同じでゴミ出しをする働きがあります。
毛穴の開閉が上手くいかずに汗をかけない体でいると、ゴミ出しが出来ない体である為、心の状態も悪くなります。
そして、それらはやっぱりイライラの原因に繋がってしまいます。
更年期に年齢は関係ない
体力が衰えていく40,50代あたりで
発症することが多いため、更年期は当たり前と思われていますが、「症状を治す体力が備わっていれば」更年期と言う症状に悩まされる事はありません。
更年期は当たり前ではないんです。
しかし、私達の無意識な年齢基準が邪魔をし、
40,50代の方でもしこのような症状が出ても
“更年期かしら”
の一言で受け入れ、何もせずに終わってしまうことが、とても多いです。
病院に行っても「更年期。」その一言で終わってしまいます。
もしくは自律神経失調症と診断され薬を飲み続ける日々になる事も多いです。
私達は、普段無意識に
「年齢だから仕方ない」「この年齢だから当たり前の症状なんだ」
などと年齢を基準に様々な不調を受け入れ、無意識に身体の不調を整えることを諦めてしまいます。
しかし、本来は物が壊れたら修理するように、年齢関係なく治さなくてはいけません。
“同年代と比べて不調が少ない方だ”
“身体はしんどいけど数値には影響していないから大丈夫”
知らず知らずの内に自分と人とを比べ、安心だと思い込もうとしてしまいます。
本来の不調は、人と比べるものでも数値で測るものでもありません。
年齢、他人、数値に囚われる事なく、
“自分自身が不快かどうか”ただそれだけなはずです。
年齢だからと諦めないで下さい。
もちろん年齢を重ねれば、不調な箇所が若い頃よりも沢山出てきます。
それは年齢と共に体力が少なくなる為の自然の流れです。
ただし、それに私達がいかに抗うか、いかに体力を作っていくかで今後の快適な身体を手に入れられるかどうかが決まります。
更年期は当たり前ではない
体力がなくなり、抑えきれなくなった症状が溢れ出てきてしまっただけのこと。
それを平均する年齢が一般的に表されているだけのことです。
それは若い方でも一緒であり、早くきたか、遅くきたかだけの違い。その方の体のタイミング。
もっと言うと、
更年期症状以外の肩凝り、腰痛、頭痛、生理痛、不妊、鬱など、ありとあらゆる全ての症状は、必ずそこに至るまでの原因があります。
そして一人一人顔や性格、不調になりやすい場所が異なるように、たまたまAさんは、婦人科にトラブルがきたけどBさんは更年期症状がでた。
ただ、それだけのことです。
不快、不調は自分自身と向き合うタイミング
放っておくと、症状は地層のように積み重なり、やがて頑固になってゆきます。
そしてその頑固なものを取り除くには時間がかかります。
そして、それらには食事をベースとした生活習慣が関わってきます。
不調が出るのは自分自身と向き合うタイミング。
今までと同じではいけないという体からのサインです。
私は80歳になっても90歳になっても年齢に囚われず心身共に元気でいたいと思っています。
鍼灸の仕事も、死ぬまで続けてゆきたい。
そう思っています。
その為に、健康な心と身体をつくる。
現代は、様々な病気に対する診断名がありますが、年齢だから仕方ないと諦める必要もない。
我慢し見過ごす必要もないと思っています。
人と自分の体を比べる必要も、年齢を理由にし諦める必要もない。
良くなる方向のことを考え、良くなる方法に進みましょう。
「世間一般的な当たり前の症状」
それを受け入れ、悲しまなくて良い。
本当の基準は、いつも自分自身にあります。
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